海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが「寄せ線(十字線)の逆張りトレード」でトレードすると結果はどうなるのか?1週間実験してみました。
「トレンド中のレンジブレイクトレード」とは?
今回の「トレンド中のレンジブレイクトレード」では、「移動平均線」「ストキャスティクス」を利用します。
「移動平均線」とは?
直近○日間のローソク足の終値をつないだ線のこと
を言います。
今回採用するのは
SMA(単純移動平均線:Simple Moving Average)
で
- 62SMA
- 200SMA
- 800SMA
という3本の移動平均線を採用します。
通常の移動平均線よりも、長い期間の設定になっていますが、これは長いトレンドを捕まるために設定しています。
この移動平均線(SMA)が
- 3本とも右肩上がり
- 3本とも交差していない
→ 上昇トレンド
- 3本とも右肩下がり
- 3本とも交差していない
→ 下降トレンド
と判断します。
トレンド中のレンジブレイクとは?
ほとんどの為替チャートでは、一直線にトレンドが進むことはまずありません。
多くのケースでは、
- 上昇する
- 拮抗する
- 上昇する
- 拮抗する
- 上昇する
- ・・
という形で、階段状にトレンドが形成されるのが一般的なのです。
なぜなら、「買い」勢力が優勢で上昇トレンドが発生しても、ある程度トレンドが進むと「売り」に転じる方が増え、また同時に「ストップロス注文」を設定している価格帯に到達すると、一時的に多くの「売り」注文が約定するので、上昇トレンドが一旦レンジ相場になるのです。「買い」の材料が多ければ、「ストップロス注文」を消化した後に、再び上昇をはじめます。
これが階段状にトレンドが形成される理由です。
今回は、
- 上昇する
- 拮抗する → レンジ相場
- 上昇する
- 拮抗する → レンジ相場
- 上昇する
の「買い」と「売り」が拮抗したレンジ相場で、トレンドの方向にポジションを持つことで、再上昇時に利益を確保するトレード手法になります。
具体的には
上昇トレンド発生時
- 上昇トレンドであることを確認する
- トレンド中のレンジ相場の「高値」に線を引く
- ローソク足の実態が引いた線を下から上に抜いたときに「買い」エントリー
下降トレンド発生時
- 下降トレンドであることを確認する
- トレンド中のレンジ相場の「安値」に線を引く
- ローソク足の実態が引いた線を上から下に抜いたときに「売り」エントリー
というトレードになります。
ストキャスティクスとは?
相場の「買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を判断するオシレーター系のテクニカル分析指標
のことを言います。
MT4の設定
今回は「Stochastic Oschillator」というインジケーターを利用します。
MT4の設定
- %K:30
- %D:10
- スローイング:10
と設定します。
メイン(緑色)のラインが80を超えている → 買われ過ぎ:下降する可能性が高い
メイン(緑色)のラインが20を超えている → 売られ過ぎ:上昇する可能性が高い
と判断します。
ストキャスティクスを何に使うかというと、勝率を上げるために利用します。
前述した「トレンド中のレンジブレイク」のエントリーサインが出たときに
ストキャスティクスの逆方向のサインが出ていれば、エントリーを見送る
ことで、勝率を上げることを意図しています。
「トレンド中のレンジブレイクトレード」手法の考え方
今回の「トレンド中のレンジブレイクトレード」手法では
大きなトレンドの発生中に一時的にレンジ相場になるが、再び同じ方向にトレンドを形成する確率が高い
という性質を利用したトレードです。
トレンド相場では、階段状にチャートが形成されるため、うまくいけば、連戦連勝ができるトレード手法となっています。
- 移動平均線 : トレンドの有無を調べる
- レンジ中の高値(安値)の水平線 : エントリータイミングを測る
- ストキャスティクス : 精度を高める
という組み合わせでトレードをします。
「トレンド中のレンジブレイクトレード」とは?
ルールその1.トレンドの発生を判断する
移動平均線でトレンドの発生を判断します。
- 移動平均線の3本が上から62MA、200MA、800MAの順に並ぶ
- すべてが右斜め上を示している
→ 上昇トレンド
- 移動平均線の3本が下から62MA、200MA、800MAの順に並ぶ
- すべてが右斜め下を示している
→ 下降トレンド
ルールその2.水平線を引く
上昇トレンド発生中
- 上昇トレンド中にできたレンジ相場の「高値」に水平線を引く
下降トレンド発生中
- 下降トレンド中にできたレンジ相場の「安値」に水平線を引く
ルールその3.引いた水平線をブレイクしたらエントリー準備
上昇トレンド発生中
- 「高値」に引いた水平線を下から上に抜く = エントリー準備
下降トレンド発生中
- 「安値」に引いた水平線を上から下に抜く = エントリー準備
ルールその4.ストキャスティクスをチェックする
上昇トレンド発生中
- ストキャスティクスのメイン線が80%を超えている → エントリー見送り(80%以下になるまで待つ)
- ストキャスティクスのメイン線が80%を超えていない → エントリー
下降トレンド発生中
- ストキャスティクスのメイン線が20%を超えている → エントリー
- ストキャスティクスのメイン線が20%を超えていない → エントリー見送り(20%以上になるまで待つ)
※ローソク足の実態が完全に水平線を超えたときにエントリーします。ヒゲのみが水平線を抜いてもエントリーはしません。
ルールその5.エントリー時に「利確」注文、「損切」注文を入れる
今回のトレード手法では
- 利確ポイント = 10pips前後
- 損切ポイント = 62SMA前後
と決めています。
エントリー時に「利確」注文、「損切」注文を設定できるOCO注文を行います。
「トレンド中のレンジブレイクトレード」のメリット
- 勝率が高い
- 連勝が期待できる
- エグジットポイントが明確
「トレンド中のレンジブレイクトレード」のデメリット
- エントリー機会が少ない
- エントリータイミングが不明確
- 1回の勝ち幅が小さい
「トレンド中のレンジブレイクトレード」で注意すべきこと
一番難しいのは、「どこがレンジ相場か?」をどう判断するか?です。トレンド中のレンジ相場を判断するのは、簡単ではないため、一番短期の移動平均線62MAの傾きに注意しておくと良いでしょう。傾きが水平に近づいてきた時がレンジ相場のサインとなります。
「トレンド中のレンジブレイクトレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 5分足
- 米ドル/円
- 移動平均線:62SMA、200SMA、800SMA
- ストキャスティクス:初期設定
採用したルール
- 上昇トレンド発生中にできたレンジ相場の「高値」に線を引き、ローソク足の実態がその「高値」を再び超えて上昇したときに「買い」エントリー
- 下降トレンド発生中にできたレンジ相場の「安値」に線を引き、ローソク足の実態がその「安値」を再び超えて下降したときに「売り」エントリー
- 10pipsの「利確設定」、62MAの「損切設定」でOCO注文
検証期間
2019年10月30日~11月3日
2019年10月30日~2019年11月1日
ポジション方向「買い」
エントリー:108.157
エグジット:108.255
+9.8pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:108.329
エグジット:108.444
+11.5pips儲け
2019年11月1日~2019年11月2日
ポジション方向「買い」
エントリー:108.403
エグジット:108.32
-8.3pips損失
2019年11月2日
ポジション方向「売り」
エントリー:107.428
エグジット:107.324
+10.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:107.311
エグジット:107.214
+9.7pips儲け
2019年11月2日~2019年11月3日
ポジション方向「売り」
エントリー:107.122
エグジット:107.015
+10.7pips儲け
結果
勝敗:5勝1敗
損益:+43.8pips
考察
勝率が高い
5勝1敗:83.3%
という高い勝率を誇ります。トレンド発生中にトレンド方向にエントリーする順張りトレードでありながら、ストキャスティクスで念には念を入れてエントリーするため、高い勝率が期待できるトレード手法です。
トレード機会が少ない
長期のトレンドが発生してからのエントリーになるため、1日1回~2回しかエントリー機会がありません。
エントリータイミングが不明確
エントリーのタイミングが
トレンド中のレンジ相場を見極める
必要があるため、「そこからレンジ相場がはじまっているのか?」を判断しなければならないのですが、個々人の判断によって、どこがレンジ相場かが異なるのです。
エントリータイミングも、人によって異なるため、トレードの勝率に個人差が出てしまうのです。
勝ち幅が小さい
もともと、利確のタイミングを10pips前後に設定しているので、一回当たりの勝ち幅は小さいトレード手法となっています。
まとめ
「トレンド中のレンジブレイクトレード」では
- トレード機会が少ない
- エントリータイミングが不明確
- 一回の勝ち幅も小さい
というデメリットがありながらも
- 高い勝率
が期待できるトレード手法となっています。
エントリー機会の少なさは、複数の通貨ペアを同時にトレードするなどでカバーすることができるので、使い方によってはメリットがあるトレード手法です。み取れれば、ほかのトレード手法との併用で、より勝率を高めることもできます。