MT4自動売買で「EA」を入手(開発、購入、無料ダウンロード)したら、次にすべきことはバックテストの実行です。提供された情報をうのみにするのではなく、自分自身で実際にMT4でバックテストを実行することが重要です。
MT4での「EA」のバックテストとは?
EAのバックテストとは
過去の為替レートで「仮にこのEAを動かしていたら、現在の収益はどうなっていたのか?」をシミュレーションする機能のこと
を言います。
利用目的としては
- 入手(購入、無料ダウンロード)したEAの性能テスト
- 入手(購入、無料ダウンロード)したEAでどのパラーメータの設定が適切なのか?のチェック
- EAを自分で開発するときの検証ツール
として利用されます。
EAを入手する方法には
- 無料ダウンロード
- 購入
- 開発
という3つの方法がありますが、どの方法でEAを入手したとしても、まずは自分でテストしてみることが重要です。そのために利用するのがMT4の「バックテスト」機能なのです。
EAのバックテストを起動する方法
メニューバーにあるバックテストの起動アイコン「ストラテジーテスター」をクリックします。
チャートの下の枠に「テスターウィンドウ」が表示されます。
「テスターウィンドウ」の中でバックテストの設定をします。
- EAの選択
- 通貨ペアの選択
- 時間軸の選択
- モデルの選択
- 「全ティック」は、ティックデータ(1分足データ)を使用してバックテストを行います。
- 「コントロールポイント」はで設定した時間軸の一つ下の時間軸データを使用してバックテストを行います。
- 「始値のみ」は、設定した時間軸の始値データのみを使用してバックテストを行います。
「全ティック」は、1分足のデータでバックテストをするので、精度が高くなる半面、テストに時間がかかるデメリットがあります。
- 期間の選択
バックテストの「開始日時」と「終了日時」を選択します。過去の日付を設定します。長い期間の方がバックテストの検証の精度が上がりますが、その分バックテストの時間がかかります。
「スタート」をクリックします。
バーが緑色になるとバックテスト完了です。
結果
過去の為替レートでの取引結果が一覧で表示されます。
取引時間、取引種別、数量、価格、残高などが表示されます。
グラフ
資産の残高推移がグラフ化されます。
レポート
バックテストの詳細データが表示されます。
今回バックテストした「Moving Average」のEAを米ドル/円で1時間足で直近1ヶ月起動した場合のバックテストデータは
- 初期証拠金 10000
- 純利益 438.79
- 最大ドローダウン 2.74%
- 勝敗 5勝14敗
- 勝トレード 155.57
- 敗トレード -24.22
という結果になり、月間の利回りは4.38%という高い運用成績のEAとなっています。
EAのバックテストは設定を変更してテストする
バックテストのメリットは
設定条件(パラメータ)を変えながら
どの設定が最適なのか?
を調査できる点にあります。
実際に設定を変更してテストします。
EAのバックテストで設定を変更
ケース1
通貨ペア:米ドル/円
時間軸:1時間足
結果
初期証拠金 10000
純利益 438.79
残高推移
レポート
ケース2.通貨ペアを変更
通貨ペア:ユーロ/円
時間軸:1時間足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -136.99
残高推移
レポート
ケース3.通貨ペアを変更
通貨ペア:ユーロ/米ドル
時間軸:1時間足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -60.13
残高推移
レポート
ケース4.通貨ペアを変更
通貨ペア:ポンド/円
時間軸:1時間足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -627.16
残高推移
レポート
ケース5.時間軸を変更
通貨ペア:米ドル/円
時間軸:5分足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -845.76
残高推移
レポート
ケース6.時間軸を変更
通貨ペア:米ドル/円
時間軸:15分足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -109.38
残高推移
レポート
ケース7.時間軸を変更
通貨ペア:米ドル/円
時間軸:4時間足
結果
初期証拠金 10000
純利益 -211.95
残高推移
レポート
上記の検証結果を見てわかる通りで
設定の変更には
- 通貨ペア
- 期間
- 時間足
- EAの各パラメータ
など、様々な項目があり、設定変更の選択肢は数万パターンあります。
これを手動でテストしていては、いつまでたっても、検証が終わりません。
MT4には「最適値」を自動的に探してくれる機能があるのです。
EAのバックテストで設定の最適値を検証する
テスターウィンドウの右上にある「エキスパート設定」をクリックします。
設定画面が現れるのでタブの「パラメーターの入力」をクリックします。
Moving Average の設定時に選べるパラメーターが選べます。
- Lots:最小ロット数
- MaximumRisk: 最大投資リスク(0.01~1.00まで指定可)
- DecreaseFactor:負けトレード回数によってロット数を下げる減少係数(通常は2~5)
- MovingPeriod:移動平均期間
- MovingShift:移動平均のシフト値
移動平均期間の値は12になっていますが、この値のスタートを5に変更してみます。これは「移動平均期間を5から12の間で自動的に最適値を見つける」ということを意味します。
「OK」をおしてウィンドウを閉じます。
テスターウィンドウに戻って右下の「最適化」チェックボックスを入れて、「スタート」を押します。
「最適化結果」というタブに移動平均期間が5、6、7、10という結果が表示されます。
この中で一番良かったのは損益が797.16を記録した移動平均期間10ということになります。
右クリックして「パラメーターの設定」ボタンをクリックすると最も成績の良かったバックテストの設定で、再度バックテストを行うことができます。
過去の最適値でEAを動かしたいという場合には、EAの設定画面で最適化結果と同じようにMovingPeriodを10に設定すれば良いのです。
EAのバックテストのレポートとは?
EAでバックテストをすると、その運用結果をレポートとして出力してくれる機能があります。
- レポート
- グラフ
- 取引結果
が一枚のhtmファイル(ウェブサイトで表示されるファイル形式)で保存できる機能があります。
このレポートを見ながら、EAの性能を検証する形がおすすめです。複数のEAのバックテストをしていると、どういう条件で出た結果か、わからなくなってしまうことが多々あります。すべて同じフォーマットのレポートで保存しておけば、あとからバックテストの結果を見直すときも、簡単に情報がわかるのです。
EAのバックテストのレポート保存の方法
テスターウィンドウでバックテストを行います。
「結果」のタブを開きます。
右クリックして「レポートの保存」を選択します。
ファイル名をつけて保存します。.htmファイルです。
.htmファイルを読み込む画面になります。.htmファイルはウェブサイトの形式ですのでブラウザで開きます。
今回はChromeで開きます。
レポートが表示されます。
EAのバックテストのレポートの見方
重視すべき項目
- 総損益
- 総取引数
- 勝率
- 最大ドローダウン
総損益がプラスになっていることが重要なのは間違えないのですが、取引回数が少ない場合は信頼性の乏しいといえます。取引回数が多くて、かつ勝率も高い場合は、信頼性の高いバックテストの結果と言えます。単純に総損益だけを見ていると、たまたま儲かったという可能性があるからです。
一方で、最大ドローダウンも重要な項目です。ドローダウンがおおきければ用意すべき資金の量が増えてしまうからです。最大ドローダウンが小さいEAの方が優れているのは間違えありません。
項目 | 説明 |
---|---|
通貨ペア | 通貨ペア |
期間 | 検証した時間軸 |
テストバー数 | バックテストに使用したロウソク足の本数 |
モデルティック数 | バックテストに使用したティック数 |
モデリング品質 | 時間軸が短いほど高い数値 |
不整合チャートエラー | エラーのあったバーの数 |
初期証拠金 | 初期の証拠金額 |
スプレッド | 買値と売値の差 |
総純損益 | 総利益 - 総損失 |
総利益 | バックテスト中に確定した利益の合計 |
総損失 | バックテスト中に確定した損失の合計 |
プロフィットファクタ | 期間中の利益を損失で割った値 |
期待利得 | 総純損益/取引回数 |
絶対ドローダウン | 初期投資額からの下落幅 |
最大ドローダウン | 最大資産からの下落幅 |
相対ドローダウン | 全取引中の最大損失 |
総取引数 | 取引回数の合計 |
売りポジション(勝率%) | 売りポジションの取引回数(勝率) |
買いポジション(勝率%) | 買いポジションの取引回数(勝率) |
勝率(%) | 利益が出た取引回数(割合) |
負率 (%) | 損失が出た取引回数(割合) |
最大勝トレード | 全取引中の最大利益 |
最大敗トレード | 全取引中の最大損失 |
平均勝トレード | 全取引中の平均利益 |
平均敗トレード | 全取引中の平均利益 |
最大連勝(金額) | 連勝取引の金額合計 |
最大連敗(金額) | 連敗取引の金額合計 |
最大連勝(トレード数) | 最大連勝取引回数 |
最大連敗(トレード数) | 最大連敗取引回数 |
平均連勝 | 平均連勝取引回数 |
平均連敗 | 平均連敗取引回数 |
まとめ
MT4の「EA」で自動売買をするのであれば、バックテストは必要不可欠なツールです。
入手元の提供している情報を鵜吞みにするのではなく、運用前に自分でバックテストをすることで、最適な設定を見つけ出すことで、EAのポテンシャルを最大限に発揮することができるのです。バックテストの回数を増やせば増やすほど、販売されているEAのバックテストレポートを見れば、そのEAの性能が一発でわかるようになっているはずです。