FXトレードでは「今のFX相場がどういう状態であるのか?」「市場参加者のポジションがどのような状態であるのか?」が非常に重要な要素となっています。テクニカル分析のチャートだけを眺めていても、材料は一向に増えてこないのです。今回は「FX相場のブル(強き)/ベア(弱き)で今後の為替の動きを予想する方法」について解説します。
「ブル(強気)/ベア(弱気)」とは?
相場の局面を表す言葉として「ブル(強気)/ベア(弱気)」が使われています。FXに限らず、先物取引や株式投資などでも古くから使われている言葉です。
海外FX業者の中にも、ブル(Bull:雄牛)をイメージキャラクターにしているところが複数社あるぐらい一般的なものなのです。
- ブル(Bull:雄牛)角を下から上に突き上げる様子 → 相場が強気 → チャートが上昇トレンド
- ベア(Bear:熊)前足を振り下ろす様子 → 相場が弱気 → チャートが下降トレンド
を示しています。
「ブル(強気)/ベア(弱気)」で何がわかるの?
今後の相場の動きが予想できます。
「買い」材料があるケースでは
相場の局面 | 市場参加者ポジション | 今後の為替相場 |
---|---|---|
ブル(強気) | 買いポジションに傾く | 下降 |
ブル(強気) | 買いポジションに傾いていない | 上昇 |
ベア(弱気) | 売りポジションに傾く | 上昇 |
ベア(弱気) | 売りポジションに傾いていない | 下降 |
となります。
「市場:ブル(強気)、買いポジションに傾く」ケース
市場がブル(強気)の場合、上昇トレンドが形成されていることになります。
市場参加者が買いポジションに傾いているということは
「いつ売ると利益が最大化できるのだろうか?」
という心理状態であり、すでに大半の市場参加者が「買い」のポジションを持っている状態ですので、ここからさらにトレンドが上昇することは考えにくいのです。
少しでも、トレンドが下がり始めたら
「もう利確しなければ」
「高値は割った。手仕舞いだ。」
「買い」のポジションを持っていた市場参加者が「売り」の利確に動くので「相場が急落する」可能性が出ています。
「市場:ブル(強気)、買いポジションに傾いていない」ケース
市場参加者が「買い」ポジションに傾いていないのですから
徐々に買いポジションの参加者が増えていく状態
になります。トレンドが形成されて間もない状態ですから、トレンドは下値が堅く、どんどん伸びていくことになります。
「上昇トレンドが進む」可能性が高いのです。
「市場:ベア(弱気)、売りポジションに傾く」ケース
市場がベア(弱気)というのは、下降トレンドが形成されていることになります。
市場参加者が「売り」ポジションに傾いているということは
「いつ利確すると利益が最大化できるのだろうか?」
という心理状態であり、すでに大半の市場参加者が「売り」のポジションを持っている状態ですので、ここからさらにトレンドが下降することは考えにくいのです。
少しでも、トレンドが上がり始めたら
「もう利確しなければ」
「手仕舞いだ。」
と「売り」のポジションを持っていた市場参加者が「買い」の利確に動くので「相場が急上昇する」可能性が出ています。
「市場:ベア(弱気)、売りポジションに傾いていない」ケース
市場参加者が「売り」ポジションに傾いていないのですから
徐々に「売り」ポジションの参加者が増えていく状態
になります。トレンドが形成されて間もない状態ですから、トレンドは上値が重く、どんどん下がっていくことになります。
「下降トレンドが進む」可能性が高いのです。
相場の局面というのは、完全なレンジ相場を除けば、前述した4つの局面のどれかに該当することになります。
この視点を持って
- 市場参加者は「買い」「売り」のどちらのポジションに傾いているのか?
- 市場参加者は「買いたいのか?」「売りたいのか?」「手仕舞いしたいのか?」「仕込みたいのか?」
- 今のトレンドは「若いのか?」「成熟しているのか?」
- 「利食い」と「損切り」はどのラインに設置されているのか?
を考えると、おのずと未来のチャートの動きがクリアに予測できるようになるのです。
ここで多くの方が思うのは・・・
そんなことはわかっているんだけど
- 「どうやってブル(強気)、ベア(弱気)を判断するのか?」
- 「どうやってポジションの傾きを判断するのか?」
- 「どうやって「利食い」と「損切り」ラインを見つけるのか?」
がわからないんだよ。
ということではないでしょうか?
基本的な判断方法を解説します。
「ブル(強気)/ベア(弱気)」の判断は移動平均線、一目均衡表
「ブル(強気)/ベア(弱気)」というのは、基本的には「トレンドが形成されているかどうか?」で判断できます。
- 移動平均線 上向き → ブル(強気)
- 移動平均線 下向き → ベア(強気)
という単純なものです。
どの期間の移動平均線を見るのか?というのは時間足との関係になり
一般的に
- 5分足 → 5MA、20MA
- 15分足 → 20MA、50MA
- 1時間足 → 50MA、75MA
- 4時間足 → 75MA、200MA
の移動平均線で判断します。
これはケースバイケースで変わってきますし、総合的にすべての時間足の移動平均線のトレンドを見て、判断することもあります。
私の場合には、トレンドの発生を間違えないように
20MA、50MA、100MA
の移動平均線3本とも同じ方向を向いたときに
「トレンド発生」=「ブル(強気)/ベア(弱気)」が判断できる
と考えています。
- 黒:100MA
- 青:50MA
- 赤:20MA
移動平均線が1本でも違う方向を向いているときは、ブル(強気)でも、ベア(強気)でも、ないレンジ相場です。
一目均衡表でも判断できます。
- 雲(ピンク)より上 → ブル(強気)
- 雲(ブルー)より下 → ベア(強気)
となり、雲にかかっている時はブル(強気)でも、ベア(強気)でも、ないレンジ相場です。
上記チャートの設定
- 移動平均線(MA):20MA、50MA、100MAで表示(設定:種別Simple)
- 一目均衡表:(設定転換線9、基準線26、先行スパンB52)
- 5分足
ポジションの傾きの判断はOANDAのオープンオーダーとオープンポジション
OANDAは世界展開しているFX業者で、元々FX情報の配信からサービス展開していた兼ね合いもあり、世界の3割の注文情報を保有していると言われています。
OANDAが提供するオープンオーダーとオープンポジションというデータでは
OANDAが把握している市場参加者の注文情報から
- ポジションの傾き
- 注文の価格帯
を知ることができるのです。
詳しくはこちらで解説しています。
FX相場の「ブル(強気)/ベア(弱気)」で今後の為替の動きを予想する手順
- 移動平均線と一目均衡表で「ブル(強気)/ベア(弱気)」を判断
- OANDAオープンオーダーとオープンポジションで「ポジションの傾き/注文の価格帯」を判断
- 今後の為替相場の動きを予想
相場の局面 | 市場参加者ポジション | 今後の為替相場 |
---|---|---|
ブル(強気) | 買いポジションに傾く | 下降 |
ブル(強気) | 買いポジションに傾いていない | 上昇 |
ベア(弱気) | 売りポジションに傾く | 上昇 |
ベア(弱気) | 売りポジションに傾いていない | 下降 |
となります。
当然、これはざっくりした相場の方向感を予想する方法ですので、正確なエントリータイミングをつかむものではありません。
しかし、この大局の情報を持って、テクニカル分析を生かすのか?テクニカル分析だけを見てトレードをするのか?では、その精度が大きく異なるのも事実です。
まとめ
「相場の局面」と「市場参加者の心理状態」を予想しながらトレードをすることで、FXの勝率を引き上げましょう。