海外FXの税金対策・節税で一番有効な方法はシンプルですが「経費」を増やすことです。これは海外FXに限った話ではありませんが、申告分離課税の国内FXとは違い、経費を増やすことが税金を軽減することに直結するのです。
では、海外FXで経費にできそうなものというのはどんなものがあるのでしょうか?税理士や税務署の判断によって変わってくるため「絶対これは経費として認めれる」と言い切ることはできませんが、可能性があるものをリストアップしてみました。
海外FXにおける経費の重要性
海外FXでは総合課税が適用されます。
所得税を例にとってみると下記のようになっています。
所得税
所得 - 各種所得控除額 = 課税所得額
課税所得額 × 所得税率 - 控除額 = 納税額
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4.000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
これを見るとわかる通りで
海外FXの収入から必要経費と各種所得控除額を除いた「課税所得額」によって税率が決まってくるのです。
ということは「必要経費」と「各種所得控除額」を増やすことができれば、海外FXの収入が同じでも、適用される税率は抑えられる可能性が高いのです。
シンプルな例を挙げれば・・・
海外FXの収入が1000万円の方が必要経費として家賃を計上しない場合(基礎控除のみと仮定)
1000万円 - 38万円 = 963万円 税率33%
963万円 × 33% - 1,536,000円 = 1,641,900円
海外FXの収入が1000万円の方が必要経費として家賃8万円を計上する場合(基礎控除のみ仮定)
1000万円 - 8万円×12ヶ月 - 38万円 = 867万円 税率23%
867万円 × 23% - 636,000円 = 1,358,100円
単純計算でも、283,800円も税金が変わってくるのです。
所得税だけでなく、住民税もこの必要経費と控除を除いた「課税所得」を元に税金が決定されるので、さらに税金の節税額は大きくなるのです。しかも、毎年、海外FXで儲けがあれば何年もこの状況が続くことになります。
経費の計上の判断は、依頼している税理士や税務署の判断によって異なりますが、今回は計上できる可能性があるものをピックアップしています。
海外FXで必要経費として計上できる可能性があるもの一覧
FXトレードに関する書籍代
FXに関する情報を集めるための本や電子書籍などの費用は当然経費になります。「○○FX」と書いていない本だとしても、「時事ニュース関連の本」だとしたら、FXの情報源であることは間違えありませんし、「海外サッカーの本」だとしても、海外の経済動向をみるのに重要な本だとすれば、必要経費に算入しても問題はありません。こじつけでもいいから、FXのための本として税務署に説明できれば良いのです。
FXトレードに関するメルマガや有料サイト
書籍だけでなく、有料メルマガや有料会員サイトの費用も当然経費になります。これも書籍と同じで関係ない有料メルマガだとしても、こじつけができるのであれば必要経費に算入できます。
FXトレードに関するセミナー費用
セミナーも当然FXトレードのためのものは必要経費です。書籍と同じで関係ないセミナーだとしても、こじつけができるのであれば必要経費に算入できます。例えば、「不動産投資のセミナー」にいったとしても、不動産投資の現状を把握することが経済の把握につながるとしたら、FXと全く関係ないとは断言できないのです。
新聞代
新聞代は世界経済も、日本の経済情報も入手するツールなので問題なく経費になります。
プロバイダー料金
FXはインターネット通信を前提にしているので、プロバイダー料金も経費になります。
電話料金・携帯電話料金
電話料金・携帯電話料金も、海外FXで海外FXの担当者と通話する必要性があるのであれば必要経費になります。ただし、「日常の電話料金も利用しているならその分は経費にならない。」と考えるのが税務上は一般的です。ただし、「電話料金ぐらいならFX利用とプライベート利用を混同しても、税務署は指摘してこない」という判断もできます。
完全に経費にするのであれば、FX用の電話は別で専用のものとして持つということも選択肢のひとつにはなります。
文具・事務用品
ペンやノートなどは必要経費です。
ノートパソコン・パソコンの購入費用やメンテナンス費用、備品
FXトレードで使っているノートパソコン・パソコンの購入費用や修理などのメンテナンス費用、バッテリーやメモリーなどの費用なども必要経費になります。これも厳密にいえば「FX以外の友達とのメールにも使っているだろ。」となってしまいますが、パソコン代ぐらいで税務署が指摘してくるケースは少ないのです。基本はメインでFXトレードをするノートパソコン・パソコンの購入費用だと考えてください。
当然、プリンターやスキャナー、キーボード、マウスなども経費になります。
家賃
家でFXトレードをするのであれば、その家賃代の一部も必要経費ということになります。家賃の場合、そこに住んで生活している場合、全額が経費ということにはなりません。
居住空間のどのくらいをFXトレードの部屋が占めるのか?で適用割合が変わってきます。部屋の半分をFXトレードに関する部屋が占めているのであれば、家賃の50%は計上しても構わないという判断になります。
近くにレンタルオフィスでも借りて、FX専用の部屋があるのであれば、その家賃は全額経費になります。
光熱費
当然、FXトレードをするためのパソコンにも電気が必要なので、光熱費も生活に関するものを除けば、それは経費になります。
家具
FXトレードをするためのオフィス用家具の机やイスなどは経費になります。生活用空間のソファーなどは経費にならないので注意が必要です。
掃除機
FXトレードをする部屋を掃除するための掃除機だって経費になる可能性があります。
テレビ
テレビもFXトレード用の情報収集のためのテレビであれば、経費として計上できます。リビングに置いてあるバラエティやドラマを見るためのテレビでは経費として認められない可能性があります。
交通費
FXのセミナーに出席するための交通費、書籍を買いに行くための交通費、FX仲間と情報交換に行くための交通費などは経費です。電車代、タクシー代も経費なのです。
経費計上を確実にするためには、そのときの交通費を利用した理由を残しておくと良いでしょう。
英会話関連費用
FXで海外のニュース情報を理解するために英語が必要であれば、英会話費用でも、経費になります。
飲食代
FX仲間と情報交換のために居酒屋で飲みに行くのであれば、それは必要経費です。かりに重要な情報を入手するためにキャバクラで接待をするとしても、それは経費になるのです。プライベート利用じゃないかと税務署に疑われた際に、誰と飲んだか?何のための費用か?の記録を残しておく必要があります。
海外旅行費用
これはある程度難易度が高いのですが、キプロスの海外FX業者を使っていて、日本人担当者に現地を見学したい、現地に行くのでそこで打ち合わせしたい、なんて要望を出して、そのためにキプロスに行くのであれば、海外旅行ではなく、FXの利益を伸ばすための海外研修のようなものです。つまり、必要経費なのです。
海外FXの担当者と会う予定がなく、勝手に行った海外旅行の場合は経費にするのは無理があります。ダメもとで打ち合わせをお願いしてみると、経費で海外旅行ができる可能性があります。
海外送金手数料
海外FXの口座に入金するときに発生する海外送金手数料は明確な経費です。
パソコンのソフトウェア費用
分析するためにエクセルが必要だったり、セキュリティのためのセキュリティソフトだったり、これも必要経費になります。
海外FXで必要経費にならないもの
取引手数料・スプレッド
取引手数料・スプレッドは意味合いでは必要経費で間違えないのですが、すでに海外FXの口座の段階で経費分は引かれて利益として反映されているはずです。
税金は利益に対して課税されるのですが、その利益を算出する前に海外FX業者側ですでにスプレッドと取引手数料が引かれているので、あらためて必要経費として計上してしまっては二重計上となってしまうからです。
海外FXで必要経費にとして認められるために必要な考え方
が重要です。
前述した例にもありますが
テレビだって「FXの情報収集のために使っている」と言い張ればそれは経費になります。
飲食代だって「FXトレーダーの先輩の○○さんとキャバクラに行って情報を引き出した」のであればそれは経費です。
FXの利益のために使った経費であることを説明できれば良いのです。当然、説明できれば経費として認められるというわけではありませんが、説明できれば認められる可能性が高いのです。
例えば、本を買うために新宿に行ったときにタクシーを使ったタクシー代を経費にしたいのであれば、タクシー代の領収書を受け取ったら、「○月○日FXの本を買うためにタクシー利用」と書いてあれば、経費として認められる可能性が高いのです。
飲食代も、「○月○日FXトレーダーの先輩の○○さんと最近FX情勢についてヒアリングのため打ち合わせ」と書いてあれば説明がしやすいのです。
逆に飲食代も、居酒屋の領収書しかなければ、税務署に「これじゃプライベートで行ったのか?わからないじゃないか?」と言われてしまった時に説明ができず、経費として認められないことになってしまいます。
まとめ
ということがある程度無理やりにでも、理由づけできるのであれば必要経費になるものは意外と多いのです。
しかし、税務署から指摘されたときに明確に回答できるように
- 理由づけをしっかりしておくこと
- 領収書とともに記録を残しておくと
を実行しましょう。判断を迷う時は税理士に相談すると良いでしょう。税理士によっても必要経費の判断はまちまちです。納得がいかないときは税理士を変えてみることも選択肢のひとつです。