多くの投資家が「海外のFX業者は追証ゼロカットサービス(追証ゼロシステム・追証なしサービス)を採用していて、国内のFX業者は採用していないのはなぜなのだろう?」と思っているのではないでしょうか。
たしかに金融庁は「顧客の資産を守るために」という大義名分でレバレッジ規制を導入したのですが、多少FXトレードをしたことがある方であれば、「レバレッジ規制なんか顧客資産を守るどころか、少額資金のトレーダーを排除しているだけで、追証を失くしてもらった方がよっぽどいいよ。」と思うのが当然なのです。
では、なぜ国内FX業者は追証が必要なのでしょうか?この質問に回答します。
追証(おいしょう)とは
為替が急激に変動してしまって、FX業者が強制ロスカットが間に合わず、損失を出してしまった場合に顧客に損失分(マイナス残高分)を請求する仕組みのこと
国内FX業者はほぼすべての業者が追証を採用。「追証=借金」になる
国内FX業者の場合、どの業者でも追証という制度を採用しています。
そのため、投資家のFX口座が強制ロスカットが間に合わずにマイナス残高になってしまった場合に、証拠金を超えたマイナス分については債務(借金)扱いになるのです。証券会社との話し合いによって返済に関する相談をすることになります。当然、返済をしなければ財産の差し押さえ等の法的な手段に出られても文句は言えないのです。
追証の投資家ダメージは絶大
2015年1月の追証の未収金額
個人顧客:19億4800万円(1,137件)
法人顧客:14億4000万円(92件)
となっています。一人当たりで見ても、1,713,280円の追証が発生しているのです。スイスフランショックも大きい変動でしたが、リーマンショックや東日本大震災と比較するとそれほどでもありません。
それでも、171万円もの追証(おいしょう)が日本のFX業者を使うトレーダーには発生してしまっているのです。
海外FX業者は追証ゼロカットサービス(追証ゼロシステム・追証なしサービス)を採用
海外FX業者は相場の急変動時に強制ロスカットが間に合わなくなって、顧客資産がマイナス残高になったとしても、その損失分はFX業者が被り、口座残高はマイナス残高からリセットされるのです。
スイスフランショックのXMTrading(エックスエムトレーディング)の対応
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重要なお知らせ: CHFに関する最新情報 大切なお客様、 スイス国立銀行がEUR/CHFの上限撤廃の決定したことよって引き起こされた最近の市場での非常に大きな値動きによって、XMはスイス国立銀行による大混乱の影響は受けての暴落の影響は受けていないことをお客様に保証致します。
XMは常にマイナス残高の自動的な保護を提供していることをお客様に再度ご案内申し上げます。 当社は、この度のEURCHF通貨ペアの異例な値動き等の混乱時には、特にお客様に対する当社の忠誠心の現れとして、こちらのマイナス残高の自動的な保護を継続していく所存です。 先週中にマイナス口座残高が発生した全てのお客様は、当社の評判と強みへのお約束を果たす為に、マイナス残高が起こりうる他のケース同様に、それらのマイナス残高は既にリセットされています。
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なぜ、国内FX業者は追証が必要なのでしょうか?
「FX業者の損失を守るため」です。
国内FX業者はOTC取引というノミ取引を採用しています。
ノミ取引というのは、友達に馬券を買いに行ってもらうことを頼まれた場合に、実際は買わずに自分が胴元の役割として賭けを呑むことを意味します。
- 馬券が外れれば → 友達から預かった馬券代が儲かる
- 馬券が当たれば → 自腹で出さなければならないので損をする
仕組みです。
国内FX業者も同じで、実際は投資家の注文があっても、インターバンク市場ではその注文通りの売買は行われていないのです。
国内FX業者がトレーダーの注文を呑んでいるのです。
- トレーダーの予想が外れれば → 国内FX業者は儲かる
- トレーダーの予想が当たれば → 国内FX業者は損をする
仕組みになってしまっているのです。
実際に通貨の売買していないから、トレーダーの注文通りに通貨の売買をしている海外FX業者と比較して狭いスプレッド(手数料)でサービスが提供できるのです。
追証がなくなると国内FX業者は大きな損をする!
前述した通りで国内FX業者はノミ行為をしているため
- トレーダーの予想が外れれば → 国内FX業者は儲かる
- トレーダーの予想が当たれば → 国内FX業者は損をする
ということになります。
仮に為替が急変動して、予想が当たったトレーダーが50%、予想が外れたトレーダーが50%だとした場合に追証がなかったとしたら・・・
- トレーダーの予想が当たれば → 国内FX業者は損をする
のはそのまま実行され
- トレーダーの予想が外れれば → 国内FX業者は儲かる
のトレーダーのマイナス残高はゼロにリセットされ、国内FX業者の儲けがなくなります。
為替の急変動時に「トレーダーの損失」を確実に回収しなければ、国内FX業者は大損してしまう!
「呑んでいた儲けの分が消えてしまうのは困る」というのがノミ取引を採用している国内FX業者の本音なのです。
だから、追証ゼロにはできないのです。
よく理解できない人はもう一度友達から馬券を頼まれたケースで考えてみると
- 馬券が外れれば → 友達から預かった馬券代が儲かる
- 馬券が当たれば → 自腹で出さなければならないので損をする
という状況で、追証ゼロというのは「10倍以上のオッズの馬券が来たら馬券代いりませんよ。」と言っているようなものなので
- 馬券が外れれば → 友達から預かった馬券代はもらわない
- 馬券が当たれば → 自腹で出さなければならないので損をする
という損だけが残ることになってしまうのです。
じゃあ、なんで海外FX業者は追証ゼロができるの?
海外FX業者が採用しているのはNDD(ノン・ディーリング・デスク)方式です。
トレーダーの注文をそのままインターバンク市場で実行し、その手数料としてスプレッドをもらう形のスタイルです。
海外FX業者の儲けは、トレーダーの注文量に依存するのです。
海外FX業者は「トレーダーに儲けてもらって、どんどん取引量を増やした貰いたい」というのが本音なのです。
追証ゼロを採用するということは海外FX業者にとっても損失であることには変わりがありません。トレーダーの口座がマイナス残高になってしまって、そのマイナス分をFX業者が被ることになることは事実なのです。
実際にスイスフランショックでは、アルパリUKが経営破たんに追い込まれています。
海外FX業者は「トレーダーのために」というよりは、自社の利益を追求するために「追証ゼロカットサービス」を採用しているのです。
結論
なぜ国内FX業者は追証が必要なのでしょうか?
国内FX業者はノミ取引をしているので、トレーダーの損失がノーカウントになってしまうと、FX業者が被からなければならない損失が巨額になってしまうからです。
海外FX業者は実際に売買をする取引方法を採用しているため、「追証ゼロ」でトレーダーが安心して取引量を拡大してくれる方がマイナス残高のリセット分よりも何倍もメリットが大きいので「追証ゼロカットサービス」を採用しているのです。
取引方法の違いが「追証ゼロ」を採用できるか?できないか?の違いになっているのです。
世界では追証ゼロの海外FX方式が当たり前のように普及していて、日本はどんどんガラパゴス化してしまっているのが現状です。