海外FX業者を利用するにあたって、やはり心配になるのは「資産保全」のことではないでしょうか。今回は海外FXの資産保全について解説します。
国内FX業者は信託保全が義務
日本国内のFX業者の場合
- 2010年以前 分別管理が義務
- 2010年以後 全額信託保全が義務
となったのです。
分別管理とは
顧客の資産(証拠金)とFX業者の会社の運営資金とを別の口座に分けて管理をする資産管理方法
信託保全とは
顧客の資産(証拠金)を信託銀行に預託することで、FX業者が経営破綻した場合にも、顧客資産が保全される資産管理方法
です。
たまに「信託銀行での分別管理」と表現するケースもありますが、これはほぼ信託保全のことを考えて良いです。
2010年以前は、分別管理だけだったので顧客資産をカバー先に預けて、保証金として利用するFX業者も多かったのですが、日本国内のFX業者の場合、このような運用方法はできなくなったのです。
例:DMM FX
お客様から預託された証拠金等の資金は「日証金信託銀行」および「株式会社SMBC信託銀行」へ信託保全を行う方法により当社の財産とは区分して管理しています。
となっています。
DMM FXの場合は、経営破たんしても2つの信託銀行に顧客資産を預けているので、その信託銀行から投資家に証拠金は返還されるということになります。
海外FX業者の場合は金融ライセンス次第で義務か?任意か?は変わる
日本国内のFX業者が信託保全を義務付けられているのは、日本の金融ライセンス(金融庁の登録)を受けていることで、金商法が適用されるからです。
海外に本社がある海外FX業者でさえも、日本の金融庁のライセンスを取得してしまうとレバレッジ規制や全額信託保全が義務付けられてしまうのです。
同じように海外の金融ライセンスでも、信託保全を義務付けているところもあります。
例えば、XMなどが取得しているキプロス証券委員会(CySEC)の場合
キプロスの国内法
Investment Services and Activities and Regulated Markets Law
投資サービス活動および規制市場法:法律17条
「キプロスのブローカーは、投資家補償基金に参加しなければならない」
となっています。
投資家補償基金とは
- 顧客資金を払い戻しできない場合
- 顧客が所有し、ブローカーが委託されて管理している金融商品を返却できない場合
に顧客に資金を返還するための仕組みのことを言います。
実際に2015年のスイスフランショックでは、経営破たんした「Alpari UK」がFCAの投資家補償基金制度で顧客資金を返還しています。
キプロス証券委員会(CySEC)の投資家補償基金の場合は
- 最高補償金は、20,000ユーロ相当を限度とする(投資家一人当たり)
1ユーロ:125円だとすると「約250万円まで信託保全しますよ。」ということになります。
よほどの大口投資家でなければ250万円の資金でFXトレードすることはないため、十分な信託保全と言えます。
海外の金融ライセンスでも、信託保全を義務付けていないケースもある
日本の金融庁が2010年以前は分別管理しか義務付けていなかったように、金融ライセンスといっても、国によって信託保全を義務付けていないケースも多いのです。
この場合、海外FX業者は、自主判断で「分別管理」と「信託保全」のどちらを採用するかを決めているのです。
とあるのです。
信託保全をするということは、信託銀行や資金管理者(カストディアン/アドミニストレーター、資金管理法人(フィデシャリー、トレジャリー)、投資家補償基金などにコストを支払われなければならないため、海外FX業者にとってはコスト増になります。
それがスプレッドに乗ってしまうこともあるということも合わせて理解しておくべきです。
- スプレッドが狭い代わりに分別管理のみの海外FX業者
- 信託保全はあるけれどもスプレッドが広い海外FX業者
ということになりがちなのです。どちらを優先するかは、リスクとトレードコストのバランスなので投資家の判断次第と言えるでしょう。
- スプレッドが狭くても、信託保全という海外FX業者
もあるので、迷った場合にはそのような海外FX業者を探しましょう。
まとめ
質問
「海外FX業者は顧客の資金をきちんと管理してくれるの?倒産したらどうなるの?」
回答
海外FX業者によって、資産保全のリスクは異なります。
- 全額信託保全
- 限度額ありの信託保全(投資家補償基金加盟など)
- 分別管理のみ
資産保全の方法を含めて、投資家側が海外FX業者を比較しなければならないということです。
信託保全を採用するということは、それだけ海外FX業者のコスト負担が増えることになるため、スプレッドが広くなってしまう可能性もあるのです。
リスクとトレードコストのバランスを見極めて海外FX業者を比較しましょう。