海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが、「水平線のみのシンプルトレード」でトレードするとどうなるのか?1週間実験してみました。
「水平線のみのシンプルトレード」とは?
水平線とは
文字通りチャート上に水平線「ホリゾンタルライン」を引いて、それをトレードの判断材料とするテクニカル分析手法のこと
を言います。
水平線をどこに引くのか?
は、「どのようなトレード戦略を採用するのか」によって変ってきますが・・・
一般的な方法は
- 高値(上値)
- 安値(下値)
の2点以上を結んで「上値抵抗線(レジスタンスライン)」「下値支持線(サポートライン)」として利用するものです。
実際にある時点のチャートに水平線を引いてみます。
水平線なし
水平線あり
このチャートではきれいに水平線が「上値抵抗線(レジスタンスライン)」「下値支持線(サポートライン)」となっています。
なぜ、水平線が「上値抵抗線(レジスタンスライン)」「下値支持線(サポートライン)」になるの?
理由は簡単です。
多くの投資家が過去の高値(上値)、安値(下値)を意識してトレードをしているから
です。
上昇トレンドのケースでは
「前回の高値(上値)が天井だろうから、利確しよう。」
「前回の高値(上値)が天井だろうから、損切ラインを前回の高値(上値)と同じかちょっと上にしよう。」
と考える投資家が多かった場合
上昇トレンドが伸びていても、前回の高値(上値)で売り注文が増えるので、「上値抵抗線(レジスタンスライン)」となってトレンドは反発してしまいます。
高値(上値)のラインで反発しそうな動きを感知すると、他の投資家も、これに乗っかってきて
「新規で売りポジションを立てる。」
「持っている買いポジションの利確を急ぐ。」
ため、よりトレンドの反発を加速させるのです。
下降トレンドのケースでは
「前回の安値(下値)が底だろうから、利確しよう。」
「前回の安値(下値)が底だろうから、損切ラインを前回の安値(下値)と同じかちょっと下にしよう。」
と考える投資家が多かった場合
下降トレンドが伸びていても、前回の安値(下値)で買い注文が増えるので「下値支持線(サポートライン)」となってトレンドは反発してしまいます。
安値(下値)のラインで反発しそうな動きを感知すると、他の投資家も、これに乗っかってきて
「新規で買いポジションを立てる。」
「持っている売りポジションの利確を急ぐ。」
ため、よりトレンドの反発を加速させるのです。
これが「高値(上値)」と「安値(下値)」で水平線を描くとそこで反発する可能性が高い理由となるのです。
この動きとは別に「水平線をブレイク(抜けてしまう)」動きもあります。
基本的には前述した通りで「水平線で反発する」というのがベースなのですが
強いトレンドが発生したとき
はこの水平線をブレイク(抜ける)してしまうのです。
水平線をブレイク(抜ける)すると
今までは
「どうせ反発するんだろう。」と考える投資家が多く
「利確」
「損切ラインの設定」
「トレンドと逆の注文」
を水平線ラインに置いていたのですが・・・
「おやっ、このトレンドは水平線をブレイクしたぞ。」
となると、急に方針転換して
「トレンドが伸びる方向でポジションを買い増し」
「トレンドが伸びる方向で新規ポジションを持つ」
「トレンドと逆の注文は損切で手じまい」
という動きが顕著になってきます。
結果として、
水平線をブレイク(抜ける)すると、トレンドの勢いが増して伸び続ける
という動きをします。
水平線を引いたチャートを見ると
上記の
- 水平線で反発するパターン
- 水平線ブレイクでトレンドの勢いが増すパターン
の両方が確認できます。
今回の「水平線のみのシンプルトレード」では
2番目の「水平線ブレイクでトレンドの勢いが増すパターン」に乗っかってポジションを立てる
手法を採用しています。
「水平線のみのシンプルトレード」の考え方としては
- 水平線をブレイクする
- 一旦水平線に再タッチする
- 押し目を形成して再びトレンドがブレイクした方向に伸びる
- 「順張り」でポジションを持つ
という流れになります。
単純に
- 水平線をブレイクしたら「順張り」でエントリー
としてしまうと
「だまし」に遭う可能性も高いため
確実性を増やすために
- 水平線をブレイクして押し目を形成してトレンドが伸びたら「順張り」でエントリー
としています。
「水平線のみのシンプルトレード」では、水平線の数を大量に引くことがポイント
「水平線」の弱点というのは
- 高値(上値)
- 安値(下値)
の2点以上を結んで線を引くので・・・
- なかなか「水平線」にタッチするトレードチャンスが訪れない。
- 「水平線」のラインが少ないのでトレードのエグジットのポイントがわからない。
などが挙げられます。
そこで、今回の「水平線のみのシンプルトレード」では、水平線の数を大量に引くことでこの問題を解決しようと試みています。
水平線の数を大量に引く手順
1日足6~8か月分のチャートを表示し、水平線を引く
1日足でMT4に表示されるのは、だいたい6か月~8か月分のチャートです。
ここで
「高値」
「安値」
「押し目」
「戻り」
・・・
など、気になるポイントに水平線をどんどん引いていきます。1点でも構いません。
1日足の水平線なしの状態
1日足で主要ポイントで水平線を引いた状態
さらにチャートを過去にさかのぼって、有効性が高い(過去の「高値」「安値」「押し目」「戻り」と重なっている)と判断できた水平線を「太い線」に切り替えます。
1日足で主要ポイントで水平線を太線にした状態
4時間足で2~3か月分のチャートを表示し、水平線を引く
4時間足でMT4に表示されるのは、だいたい2か月~3か月分のチャートです。
後は同じことをします。
4時間足で主要ポイントで水平線を引いた状態
4時間足で主要ポイントで水平線を太線にした状態
1時間足で2~3週間分のチャートを表示し、水平線を引く
1時間足でMT4に表示されるのは、だいたい2週間~3週間分のチャートです。
後は同じことをします。
1時間足で主要ポイントで水平線を引いた状態
1時間足で主要ポイントで水平線を太線にした状態
この作業が終わると
チャートには20本~30本の水平線が引かれ、その中の半分ぐらいは主要な水平線として「太線」表示になってきます。
今回のトレード手法では
エントリーのタイミング
大量の水平線を引いた後に
- 水平線をブレイクする
- 一旦水平線に再タッチする
- 押し目を形成して再びトレンドがブレイクした方向に伸びる
- 「順張り」でポジションを持つ
という方法になります。
一旦、水平線をブレイクしてローソク足のヒゲが水平線と離れたことを確認してから、押し目の形成時にエントリーすることが重要です。ヒゲが水平線にくっついたままだと、まだブレイクとは言い切れず、そのままトレンドが反転する可能性も高いからです。
エグジットのタイミング
水平線を大量に引いたので、10pips~30pipsの幅で次の水平線が現れるはずです。
次の水平線を超えて、トレンドと反対方向のローソク足が出現したら「利確」します。
- 上昇トレンドでは次の水平線を超えて、陰線が形成されたら「利確」
- 下降トレンドでは次の水平線を超えて、陽線が形成されたら「利確」
となります。
反対方向のローソク足が出現しない限りは、トレンドに乗り続けます。
逆に「損切」のタイミングは
エントリー時点の水平線とポジションの方向とは逆の方向の水平線にタッチしたら「損切」します。
- 上昇トレンドでは、一本下の水平線にタッチしたら「損切」
- 下降トレンドでは、一本上の水平線にタッチしたら「損切」
となります。
「水平線のみのシンプルトレード」のメリット
- トレンドブレイク後の押し目形成に「順張り」で乗っかるのは確実性が高く勝率が高くなる
- エントリーのポイントは明確
- エグジットのポイントは明確
「水平線のみのシンプルトレード」のデメリット
- 水平線の引き方に個人差が出てしまう
- 水平線の数が増えれば増えるほど、水平線の間隔が小さくなるため、大勝ちしにくい
「水平線のみのシンプルトレード」は、水平線という誰でも理解しやすいテクニカル指標しか使わないので初心者にもわかりやすいトレード手法と言えます。
水平線の数が増えれば増えるほど、水平線の間隔が小さくなるため、大勝ちしにくい反面、損切もすぐにできるのでリスクを小さくトレードをすることができます。
「水平線のみのシンプルトレード」で注意すべきこと
水平線を引くルールが必要
水平線は
- 「高値」
- 「安値」
- 「押し目」
- 「戻り」
で引き
過去のチャートで
- 「高値」
- 「安値」
- 「押し目」
- 「戻り」
が重なった場合に「太線」にするルールです。
しかし、厳密に「高値」「安値」「押し目」「戻り」が重なることはほとんどないので
チャートの時間軸にもよりますが
1pips~5pipsぐらいのずれなら同じラインとして「太線」表示にする
必要があります。
1pipsのずれで2本水平線を引いていたら、今回のトレード手法は使えなくなってしまうのです。
目安として
- 10pips~30pipsの幅で水平線が引かれること
- 1pips~5pipsぐらいの近い水平線は引かずに同一のポイントと考えること
が重要になってきます。
「水平線のみのシンプルトレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 水平線:1時間足、4時間足、1日足で主要なポイントに水平線を引き、過去の主要ポイントに重なった場合に「太線」にする
- 30分足
- 米ドル/円
採用したルール
- 水平線をブレイクして押し目を形成してトレンドが伸びたら「順張り」でエントリー
- 上昇トレンドでは次の水平線を超えて、陰線が形成されたら「利確」
- 下降トレンドでは次の水平線を超えて、陽線が形成されたら「利確」
- 上昇トレンドでは、一本下の水平線にタッチしたら「損切」
- 下降トレンドでは、一本上の水平線にタッチしたら「損切」
検証期間
2017年12月18日~2017年12月22日
2017年12月18日~2017年12月19日
ポジション方向「売り」
エントリー:112.636
エグジット:112.508
+12.8pipsの利益
ポジション方向「売り」
エントリー:112.51
エグジット:112.382
+12.8pipsの利益
ポジション方向「買い」
エントリー:112.549
エグジット:112.651
+10.2pipsの利益
ポジション方向「買い」
エントリー:112.593
エグジット:112.779
+18.6pipsの利益
ポジション方向「買い」
エントリー:112.971
エグジット:113.109
+13.8pipsの利益
2017年12月20日~2017年12月21日
ポジション方向「買い」
エントリー:113.135
エグジット:113.186
+5.1pipsの利益
ポジション方向「買い」
エントリー:113.272
エグジット:113.409
+13.7pipsの利益
ポジション方向「売り」
エントリー:113.411
エグジット:113.448
-3.7pipsの損失
ポジション方向「買い」
エントリー:113.46
エグジット:113.421
-3.9pipsの損失
2017年12月21日~2017年12月22日
ポジション方向「売り」
エントリー:113.441
エグジット:113.309
+13.2pipsの利益
ポジション方向「買い」
エントリー:113.361
エグジット:113.256
-10.5pipsの損失
結果
勝敗:8勝3敗
合計:+82.1pipsの儲け
考察
高い勝率が得られた。
8勝3敗、勝率にして「72.7%」ですから、十分に高い勝率と言えます。
- 「順張り」であること
- 押し目形成してから慎重にエントリーすること
の2点があるため、勝率は必然と高くなっています。
やや少ないトレード機会と勝ち幅
1週間、実質5営業日で11回のトレード機会ですから、1日2回程度しかトレード機会はないということです。
にも関わらず、1回の勝ち幅が「平均12.5pips」と大きくないため、大勝ちはしにくいトレード手法と言えます。
ただし、トレード手法を微調整する余地はあります。
- トレンドが伸びているときにどこまで引っ張るか?
という問題です。
このトレード手法の場合は、次の水平線を超えて、1回でもトレンド方向と反対のローソク足が出現したら「利確」しています。
確実といえば確実ですが、強いトレンドが発生中でも、1回、2回は反対のローソク足が出現することも珍しくありません。
そのときにある程度「利確しないで我慢できる」ルールが作れるのであれば、勝率はやや下がってしまうかもしれませんが、勝ち幅は倍以上に伸びる余地があります。
勝ち幅を引き上げるためには「太線」のみのトレードも視野
前述した通りで
水平線が多ければ多いほど
- トレード機会は増える
- 勝ち幅も、負け幅も小さくなる
ので、ローリスクローリターンで取引機会が増えるのですが
水平線が少なければ
- トレード機会は減る
- 勝ち幅も、負け幅も大きくなる
のです。
単純に水平線の数を削るのではなく、過去のチャートの主要ポイント(「高値」「安値」「押し目」「戻り」)と重なった「太線」のみを残せば、より収益が増える可能性があるのです。
こちらも検討の余地がある改善方法です。
まとめ
「水平線のみのシンプルトレード」は、8勝3敗と高い勝率を挙げることができました。
- 水平線という初心者でもわかりやすいテクニカル指標のみ
を利用して、高い勝率を挙げられるトレード手法ですので、初心者の方にはおすすめできます。
一方で、トレード機会はそこまで大きくないことや勝ち幅の平均pipsが12pips強と少ないため、中級者以上の投資家の方は工夫しながら自己流にアレンジする必要性が出てきます。シンプルだからこそ、アレンジしやすいトレード手法とも言えます。