海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」でトレードすると結果はどうなるのか?1週間実験してみました。
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」とは?
RCI(Rank Correlation Index)とは
RCI(Rank Correlation Index)は、日本語では「順位相関係数」という名称になります。株式投資などで良く用いられるテクニカル分析指標で「時間」と「価格」それぞれに順位をつけ、両者にどれだけの相関関係があるのかをグラフ化したものです。
RCI(Rank Correlation Index)の計算式
d:日付の順位と価格の差を2乗し、合計した数値
n:期間
計算式だけ見ても、「どう計算すれば良いのか?」全く分からないので、例を出して説明します。
日付の順位は直近から「1」「2」「3」・・・
価格の順位は高い順に「1」「2」「3」・・・
と指定した期間の「日付」と「価格」に順位をつけます。
上昇トレンドが発生している場合
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 |
---|---|---|---|
3月1日 | 500円 | 5 | 5 |
3月2日 | 510円 | 4 | 4 |
3月3日 | 515円 | 3 | 3 |
3月4日 | 520円 | 2 | 2 |
3月5日 | 530円 | 1 | 1 |
直近の日付順位が「1」で、価格も「1」であれば、日付の順位と価格の差を2乗し、合計した数値は「0」になるので
RCI = ( 1 - 0 ) × 100 = +100
ということになります。
下降トレンドが発生している場合
日付 | 終値 | 日付順位 | 価格順位 |
---|---|---|---|
3月1日 | 530円 | 5 | 1 |
3月2日 | 520円 | 4 | 2 |
3月3日 | 515円 | 3 | 3 |
3月4日 | 510円 | 2 | 4 |
3月5日 | 500円 | 1 | 5 |
直近の日付順位が「1」で、価格が「5」であれば、日付の順位と価格の差を2乗し、合計した数値は「16+4+0+4+16」になるので「40」になります。
RCI = ( 1 - 240/120 ) × 100 = -100
となるのです。
RCIは
- 1日ごとに価格が上昇する「上昇トレンド」が発生する → +100
- 1日ごとに価格が下降する「下降トレンド」が発生する → -100
となるのです。
「1日ごとに価格が少しずつ上昇するきれいなトレンド」というのは、そんなに発生するものではないので・・・
- 「上昇トレンド」が発生する → +100近辺に位置する
- 「下降トレンド」が発生する → -100近辺に位置する
ということがわかります。
もっと言えば
- RCIが+100近辺から下に向かって急下降するとき → トレンドの転換点(下降トレンドが発生)
- RCIが-100近辺から上に向かって急上昇するとき → トレンドの転換点(上昇トレンドが発生)
を意味します。
RCIを使ったFXトレードでは
RCIが+100近辺から下に向かって急下降するとき → トレンドの転換点(下降トレンドが発生) → 「売り」エントリー
RCIが-100近辺から上に向かって急上昇するとき → トレンドの転換点(上昇トレンドが発生) → 「買い」エントリー
RCIが+100近辺から下に向かって急下降するとき → トレンドの転換点(下降トレンドが発生) → 持っていた「買い」ポジションのエグジット
RCIが-100近辺から上に向かって急上昇するとき → トレンドの転換点(上昇トレンドが発生) → 持っていた「売りい」ポジションのエグジット
という形で使用します。
RCIのインジケーターダウンロード
RCIは、株式投資などでは頻繁に利用されるテクニカル分析指標ですが、FXトレードではそれほどメジャーなテクニカル分析指標ではありません。そのため、MT4/MT5にはインジケーターがプリインストールされていませんので、下記からダウンロードしてください。
RCIのMT4用とMT5用のRCIインジケーターダウンロード
MT4の設定
インジケーターの「RCI」を選択
- MT4の設定 MT4の設定
- 計算周期1「9」
- 計算周期2「26」
- 計算周期3「52」
- 計算バー本数「20000」
※初期状態は計算バー本数は「2000」になっていますが、5分足など短期の時間足の場合、表示されないケースがあるので「20000」に増やしています。
移動平均線の使い方
今回のトレード手法では「SMA(単純移動平均線)」を利用します。
「SMA(単純移動平均線)」 → 一定期間のデータを同じ価値として計算し、平均値を求めるもの
であり、今回は
- 9SMA
- 26SMA
- 200SMA
の3本の「SMA(単純移動平均線)」を利用します。
移動平均線の考え方としては
- 200SMAが上向き → 上昇トレンド
- 200SMAが下向き → 下降トレンド
- 上昇トレンドで実勢レートが3本の移動平均線よりも上にある → 強い上昇トレンド
- 下降トレンドで実勢レートが3本の移動平均線よりも下にある → 強い下降トレンド
を意味します。
MT4の設定
インジケーターの「Moving Average」を選択
- 期間「9」「26」「200」
- 移動平均の種別「Simple」
- 適用価格「Close」
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」手法の考え方
今回の「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」では、「押し目買い」「戻り売り」が基本になります。
「押し目買い」
どちらも、順張りであり、トレンドが伸びている間に一時的に下がった瞬間を狙ってエントリーをして、実勢レートが元のトレンドに戻ることで利益を上げるトレード手法のことを言います。
これが基本であり、「一時的に下がった瞬間を狙ってエントリー」するときに「移動平均線」を使用します。
強い上昇トレンド発生時 = 実勢レートが移動平均線よりも上
にあります。
このときに一時的に実勢レートが移動平均線まで落ちてくることがあります。これを「バウンド」と言います。
強い上昇トレンド発生時に実勢レートが移動平均線にバウンドするとき = トレンドが一時的に下がる瞬間
ということです。
この時を狙って「買い」エントリーをするのが「押し目買い」ということになります。
つまり、
強い上昇トレンド発生時に(条件:200MAが右上に傾向く かつ 実勢レートが移動平均線よりも上にある)
一時的に実勢レートが移動平均線とぶつかる(バウンドする)
「買い」エントリーをする強い下降トレンド発生時に(条件:200MAが右下に傾向く かつ 実勢レートが移動平均線よりも下にある)
一時的に実勢レートが移動平均線とぶつかる(バウンドする)
「売り」エントリーをする
というのが今回のトレード手法の肝になります。
RCIの使い方
「あれっ、RCIはどこ行ったの?」
ということになってしまいますが、RCIは上記の「押し目買い」「戻り売り」戦略の精度を上げるために使います。
RCIの特徴は
RCIが+100近辺から下に向かって急下降するとき → トレンドの転換点(下降トレンドが発生)
RCIが-100近辺から上に向かって急下降するとき → トレンドの転換点(上昇トレンドが発生)
ですから
強い上昇トレンド発生時に(条件:200MAが右上に傾向く かつ 実勢レートが移動平均線よりも上にある)
一時的に実勢レートが移動平均線とぶつかる(バウンドする)
「買い」エントリーをする
という条件に「RCIが-100近辺から上に向かって急下降するとき(上昇トレンド発生)」という条件をつけ足すことで精度が高まるのです。
強い上昇トレンド発生時に(条件:200MAが右上に傾向く かつ 実勢レートが移動平均線よりも上にある)
一時的に実勢レートが移動平均線とぶつかる(バウンドする)
かつ、RCIが-100近辺から上に向かって急上昇する
「買い」エントリーをする強い下降トレンド発生時に(条件:200MAが右下に傾向く かつ 実勢レートが移動平均線よりも下にある)
一時的に実勢レートが移動平均線とぶつかる(バウンドする)
かつ、RCIが+100近辺から下に向かって急下降する
「売り」エントリーをする
ということになります。
これで精度の高い「押し目買い」「戻り売り」が実現できるのです。これが今回のトレード手法の考え方になります。
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」手法とは?
ルールその1.200MAの傾きをチェックする
今回のトレード手法は「押し目買い」「戻り売り」というトレンドに逆らわない順張りトレードです。
- 強いトレンド発生時 → このトレード手法の成功率が高まる
- 弱いトレンド、レンジ相場発生時 → このトレード手法の成功率が低くなる
傾向にあります。
トレンドを判断するときに200MAの傾きを見ます。
- 右上に傾いている → 上昇トレンド発生
- 右下に傾いている → 下降トレンド発生
- ほぼ水平 → レンジ
今回のトレード手法では、トレンド発生時にトレードを行います。
ルールその2.実勢レートが移動平均線の位置
トレンドの発生は実勢レートと移動平均線の位置関係でも判断します。
- 上昇トレンド発生時 → 実勢レートが移動平均線よりも上にある → 強い上昇トレンド
- 下降トレンド発生時 → 実勢レートが移動平均線よりも下にある → 強い下降トレンド
です。
今回のトレード手法では、上記のどちらかになったら、トレードを行います。
ルールその3.実勢レートが移動平均線にバウンドするタイミングを見計らう
「押し目買い」「戻り売り」の「押し目」「戻り」をチェックする方法として、移動平均線のバウンドを利用します。
上昇トレンド発生時 → 実勢レートが移動平均線よりも上にある → 実勢レートが上から下に移動平均線と接する
→ 「買い」エントリーの準備
下降トレンド発生時 → 実勢レートが移動平均線よりも下にある → 実勢レートが下から上に移動平均線と接する
→ 「売り」エントリーの準備
ルールその4.RCIをチェックして最終的なエントリーを行う
RCIは、トレンドに敏感に反応する「RCI:9」を利用します。
上昇トレンド発生時
実勢レートが移動平均線よりも上にある → 実勢レートが上から下に移動平均線と接する
かつ
RCIが-100近辺から上に向かって急上昇する→ 「買い」エントリー
下降トレンド発生時
実勢レートが移動平均線よりも下にある → 実勢レートが下から上に移動平均線と接する
かつ
RCIが+100近辺から下に向かって急下降する→ 「売り」エントリー
ルールその5.RCIでタイミングを計りエグジットする
RCIの方向が変わったら「トレンドの転換」を意味します。
「買い」ポジション
「RCI:9」が最上部から下向きに方向転換→ エグジット
「売り」ポジション
「RCI:9」が最下部から上向きに方向転換→ エグジット
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」のメリット
- エントリーチャンスが多い
- 順張りなので勝率が高い
- 順張りなので損失が小さい
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」のデメリット
- 「バウンド」というエントリータイミングが人によって曖昧になってしまう
- レンジ相場では勝率が落ちる
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」で注意すべきこと
弱いトレンド相場、レンジ相場ではトレードをしない
今回のトレード手法は
- 強いトレンド相場 → 勝率が高い(勝ち幅が大きい)
- 弱いトレンド相場 → 勝率が低い(勝ち幅が小さい)
- レンジ相場 → 勝率がより低い
という傾向になります。
順張りトレードですので、当然と言えば当然ですが
レンジ相場や弱いトレンド相場のときはこのトレード手法は利用しないことをおすすめします。
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 単純移動平均線(SMA):26SMA、52SMA、200SMAを表示(設定:種別Simple)
- RCI:9,26,52(設定:計算バー本数20000)
- 5分足
- 米ドル/円
採用したルール
- 「3本の移動平均線の上から移動平均線にバウンド」かつ「安値圏(-100近辺)からRCI:9(赤)が上を向いて上昇しはじめる」→ 「買い」エントリー
- 「3本の移動平均線の下から移動平均線にバウンド」かつ「高値圏(+100近辺)からRCI:9(赤)が下を向いて下降しはじめる」→ 「売り」エントリー
- 「買い」ポジション → RCI:9(赤)が高値圏(+100近辺)に上昇してから下を向いて下降しはじめる → エグジット
- 「売り」ポジション → RCIが安値圏(-100近辺)に下降してから上を向いて上昇しはじめる → エグジット
検証期間
2018年4月2日~2018年4月6日
4月2日~4月3日
ポジション方向「買い」
エントリー:106.278
エグジット:106.285
+0.7pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.283
エグジット:106.315
+3.2pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.304
エグジット:106.36
+5.6pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.061
エグジット:105.684
+37.7pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:105.836
エグジット:105.838
-0.2pips損失
4月3日~4月4日
ポジション方向「買い」
エントリー:106.082
エグジット:106.179
+9.7pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.139
エグジット:106.192
+5.3pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.163
エグジット:106.251
+8.8pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.226
エグジット:106.527
+30.1pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.391
エグジット:106.533
+14.2pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.415
エグジット:106.412
-0.3pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:106.418
エグジット:106.566
+14.8pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.138
エグジット:106.144
-0.6pips損失
4月4日~4月5日
ポジション方向「買い」
エントリー:106.536
エグジット:106.721
+18.5pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.724
エグジット:106.744
+2.0pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.947
エグジット:106.942
-0.5pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:107.038
エグジット:107.099
+6.1pips儲け
4月5日~4月6日
ポジション方向「買い」
エントリー:107.336
エグジット:107.39
+5.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:107.235
エグジット:107.041
+19.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:107.117
エグジット:107.061
+5.6pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.935
エグジット:106.9444
-0.9pips損失
結果
勝敗:16勝5敗
合計:+184.6pipsの儲け
考察
勝率がかなり高いトレード手法
勝率:76.2%
ですから、精度を上げていけば勝率8割も目指せるトレード手法と言えます。
今回はレンジ相場以外の弱いトレンド相場でも、エントリーしていますが、これをある程度強いトレンド相場のみにすれば、より勝率は上がるはずです。
また、ボラティリティがそれほど高くない「日本円」「豪ドル」などの通貨が向いているトレード手法とも言えます。
損小利大を実現
1回のトレードの勝ち幅平均:+11.7pips
1回のトレードの負け幅平均:⁻0.5pips
ですから、負ける時は小さく、勝つときは大きくの「損小利大」を明確に実現できています。
この結果から見ると、損切ラインを比較的小さくとっても、十分に勝機があるトレード戦略と言えます。
まとめ
「RCIと移動平均線を活用した「押し目買い」「戻り売り」トレード」では
- 勝率が高い
- 損小利大ができる
という特徴があるため、初心者でも儲けられるトレード手法となっています。
ただし、大きな問題点として
- エントリータイミングが曖昧
- RCIの急な変化に対応してエントリーしなければならない
ため、多少の練習が必要になることに注意が必要です。トレード回数をこなしてコツをつかめば、初心者でも高い勝率が実現できるトレード手法です。