「ゴトー日の仲値トレード」というFXのトレード方法があります。「窓埋め」と同じように「ゴトー日の仲値トレード」というのは、ある種の法則性があるが説明がつかないアノマリー手法と呼ばれていますが、実際には明確な原因があって発生する現象を利用したトレード方法なのです。大きく稼げるわけではありませんが、数pips単位で高い勝率が見込めるため、ハイレバレッジが可能な海外FXに向いているのです。
「ゴトー日の仲値トレード」を知るために覚えておくべきこと
仲値とは
FXで外貨を取引するのと同じように、銀行でも外貨への両替ができることをご存じの方も多いかと思います。個人であれば海外旅行に行く前に銀行でドルなどに両替してから行く方も少なくありません。
企業も海外企業を相手に取引をしている場合は、頻繁に外貨(ドル)を両替する機能を銀行は持っているのです。
FXでは、為替レートが刻一刻と変化していきますが、銀行は窓口業務なのでリアルタイムで変化するレートに対応することはできないため、毎日その日の9時55分の為替レートを基準にして、その日1日の為替レートを決めるのです。
仲値は円安になる!
銀行の立場に立ってみてください。
銀行はこの9時55分の為替レートで丸1日取引をしなければなりません。
銀行は利益を最大化するためには
- 9時55分のレートが少しでも高い(ドル高)の状態だとその日1日のトレードが有利になる
- 銀行側はより安いレートで米ドルを調達しておきたい
ということなのです。
結果として、銀行は9時55分になる前の安い状態で大量に米ドルを仕入れるのです。
そうしておけば、この銀行のドル買いによってレートが上がった状態で1日の取引はできるし、ドルが上昇する前の安い価格で銀行は米ドルを仕入れておけるのです。
結果として、9時55分の
仲値はドル高(円安)になる!
可能性が高いのです。
ゴトー日はさらに「仲値の円安」がパワーアップ
ゴトー日とは、「5」「10」日を意味します。つまり、5がつく日と0がつく日のことです。
の6日のことをゴトー日と呼ぶのです。厳密に言えば、月末はゴトー日ではありませんが、今回の場合は月末も含めるのです。
企業というのは、取引や入金の締日をゴトー日に設定していることがほとんどなのです。20日締め、月末締め、10日締め、5日締め・・・などです。
ゴトー日には銀行の企業取引が活発化するのです。日本国内の輸出関連企業も、5の倍数の日に取引が集中し、決済日になっていることが多いのです。
つまり、海外へ輸出した場合、海外企業からの入金がゴトー日に集中するのですが、企業は外資でお金を持っていても仕方がないので、このゴトー日に日本円に両替するのです。
結果として「仲値の円安(ドル高)」がパワーアップすることになるのです。
「ゴトー日の仲値トレード」とは
5日、10日、15日、20日、25日、月末の日の9時から9時55分にかけて、米ドル/円は上昇するという法則に合わせてトレードをする手法です。
手法1「9時前後にエントリーして、9時55分に売り抜ける」
当然、米ドル/円が上昇するのであれば、事前にロングで仕込んでおけば良いということです。
手法2「9時55分にショートでエントリーして、反転を狙う」
9時55分には仲値が決まっていしまうため、それ以降は銀行のドル買いは収まることになります。
当然、「ゴトー日の仲値トレード」自体は有名な手法なので、これを狙ってロングでポジションを持っていたトレーダーは、利益確定の売りを行うことになります。
結果として9時55分まで上昇したら、9時55分に反転して下降トレンドに向かう可能性が高いのです。
「ゴトー日の仲値トレード」を検証すると上手くいかないのでは?
「ゴトー日の仲値トレード」では、バックテストを利用して検証している方も多くいます。
- 8時:ロング → 9時30分:決済 結果 9勝11敗2分 +24pips
- 9:20~10:00 円高率 71%
- 9:40~9:55 ドル高円安38回 円高ドル安51回
- ・・・
結果としては様々な結果があるのですが「一概に傾向は見て取れない」と言う方が多いのです。
しかし、これには落とし穴があるのです。
ゴトー日が土日休日というのは、銀行はこの米ドル買いを休日の前の日に行う場合と、休日明けに行う場合の2パターンがあるのです。結果、米ドル買いが分散してしまうため上手く「ゴトー日の仲値トレード」の傾向がでないのです。
また、銀行の米ドル買いの量にもよりますが、米ドル/円が下降トレンドに入っているときは、銀行の米ドル買いが発生しても、持ち直す程度で止まってしまい、「ゴトー日の仲値トレード」で狙うドル高の状態にならないことも多々発生するのです。
- ゴトー日が土日休日の場合は、通用しない。
- 円高(ドル安)トレンドの場合は、「ゴトー日の仲値トレード」は通用しない。
というような「ゴトー日の仲値トレード」が通用しない除外条件をきちんと理解して、その場合にはトレードを見送ることをしなければならなじのです。
これを無視してバックテストで過去データを検証したところで、「ゴトー日の仲値トレード」はそれほど傾向が見えないという答えにしかならないのです。
「ゴトー日の仲値トレード」実験レポート
検証条件
- 5日、10日、15日、20日、25日、月末の日
- 通貨ペア:米ドル/円
- 取引量:1ロット(10万通貨)
- 損切ライン:20pips
- 円高(ドル安)トレンドの場合は見送り
- 休日の場合は見送り
- 手法1「9:00にロングでエントリー9:55に決済」
- 手法2「9:55にショートでエントリー → 10:30までに約定しなければポジション解消」
8月10日
9:00 124.387 ロング
9:55 124.470 決済
+11.3pips
成功○
9:55 124.478 ショート
10:30 124.427 決済
+5.1pips
8月5日
7月31日
9:00 124.045 ロング
9:55 124.182 決済
+13.7pips
失敗×
9:55 124.182 ショート
10:30 124.282 決済
-10.0pips
7月25日
7月20日
7月15日
9:00 123.437 ロング
9:55 123.452 決済
+1.5pips
失敗×
9:55 123.478 ショート
10:30 123.493 決済
-1.5pips
結果
- 手法1「ロング:6戦 3勝3分0敗 +26.5pips(+2万6500円)」
- 手法2「ショート:6戦 1勝3分2敗 -6.4pips」
という結果です。
「ゴトー日の仲値トレード」は上記では検証数が少ない為、引き続き検証が必要ですが
手法1のロングでエントリーする方は、大きなpipsが稼げるわけではありませんが、一定以上の勝率は期待できると考えられます。レバレッジが高い海外FXであれば、勝率が高ければ、稼げるpips数が少なくても、儲けることができるのです。
稼ぎ幅は少なくても、回数と勝率で戦えるトレード手法と言えます。
一方、反転を狙ったショートのエントリーは上手く行きませんでした。他の方では10時ではなく、11時から反転するという方もいるので、さらなる検討が必要と思われます。
「ゴトー日の仲値トレード」をする場合の海外FX業者選びの注意点
- レバレッジの高い海外FX業者を選ぶこと
- 板情報・気配値がわかるECN口座を採用している海外FX業者を選ぶこと