海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」でトレードすると結果はどうなるのか?1週間実験してみました。
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」とは?
EMA(Exponential Moving Average)とは
EMA(Exponential Moving Average)は、日本語では「指数平滑移動平均線」という名称になります。移動平均線の一種ですが直近の値動きの評価を高く指数関数的に設定するのが「EMA(指数平滑移動平均線)」です。
オーソドックスな移動平均線のことを「SMA(単純移動平均線)」と呼びますが
- 「SMA(単純移動平均線)」 → 一定期間のデータを同じ価値として計算し、平均値を求めるもの
- 「EMA(指数平滑移動平均線)」 → 直近のデータを高い価値、古いデータを低い価値として計算し、平均値を求めるもの
という違いがあります。
普通に考えればわかりますが、日足で20日分の移動平均線を見る時に「1日前の価格」と「20日前の価格」を比較すれば、当然のように「1日前の価格」の価格の方が、現在価格に与える影響は大きくなるのです。
そのため
- 「SMA(単純移動平均線)」 → 直近の為替変動に対して反応が鈍い
- 「EMA(指数平滑移動平均線)」 → 直近の為替変動に対して反応が速い
という特徴があります。
実際に同じチャートで比較してみると・・・
実勢レートが下降トレンドに入った時に先に下降しているのは「EMA(指数平滑移動平均線)」であることがわかります。
今回のトレード手法では、実勢レートの値動きに速く反応する移動平均線の方が勝率が高くなるため、「EMA(指数平滑移動平均線)」を使用します。
MT4の設定
インジケーターの「Moving Average」を選択
- 期間「20」
- 移動平均の種別「Exponential」
- 適用価格「Close
エンペローブ(Envelope)とは
エンペローブ(Envelope)は、移動平均線を一定間隔話して平行に表示させるテクニカル分析指標のこと
を言います。
エンペロープの乖離幅は「パーセンテージ(%)」で設定します。
1ドル=100円の米ドル/円チャートで「0.1%」と設定すれば、約10pips離れた位置に移動平均線が表示されるのです。
今回のトレード手法での「エンペローブ(Envelope)」の設定は、乖離幅0.1%、0.2%、0.3%、0.4%で計4本(マイナス含めて8本)の「エンペローブ(Envelope)」を表示します。
MT4の設定
インジケーターの「Envelopes」を選択
- 期間「20」
- 移動平均の種別「Exponential」
- 適用価格「Close」
- 偏差「0.10」「0.20」「0.30」「0.40」%
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」手法の考え方
今回の「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」では、この「Envelopes」「EMA(指数平滑移動平均線)」をどうやって使うのか?解説します。
基本的に実勢レートは、±0.1%のエンペローブの内側に収まる
まず、理解してほしいのは、実勢レートの90%~95%は「±0.1%のエンペローブの内側に収まる」という点です。
実際に下記に図を見ていただければわかる通りで、ほとんど「±0.1%のエンペローブの内側」に実勢レートがあるのです。
この習性を利用すれば
+0.1%のエンペローブをはみ出しても、すぐに+0.1%のエンペローブの内側に戻る → 「売り」エントリーチャンス
-0.1%のエンペローブをはみ出しても、すぐに-0.1%のエンペローブの内側に戻る → 「買い」エントリーチャンス
と判断することができるのです。
実勢レートが、±0.1%のエンペローブの内側に収まる習性を利用してトレードするのが「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」手法の基本的な考え方です。
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」手法とは?
ルールその1.±0.1%のエンペローブを超えるタイミングを見逃さない
今回のトレード手法では「EMA(指数平滑移動平均線)」「エンペローブ(Envelope)」を使います。
「エンペローブ(Envelope)」で判断するのは、実勢レートが
±0.1%ののエンペローブを超えたか?超えていないか?
という点です。
+0.1%のエンペローブを超えた → 「売り」エントリー
-0.1%のエンペローブを超えた → 「買い」エントリー
ということになります。
ルールその2.ヒゲの形成を確認してエントリーする
+0.1%のエンペローブを超える
+エンペローブを超えてヒゲが形成される
→ 「売り」エントリー
-0.1%のエンペローブを超える
-エンペローブを超えてヒゲが形成される
→ 「買い」エントリー
逆張りですので、エンペローブからはみ出して、ヒゲが形成されたら、エントリーチャンスです。
ルールその3.エグジットする
エグジットのタイミングは
エンペローブを超えてから、「EMA(指数平滑移動平均線)」に再びタッチするタイミング
です。「EMA(指数平滑移動平均線)」にタッチするということは、十分にエンペローブの内側に戻ったということになります。
注意点
エンペローブ一つのゾーンに対して、ポジションを持てるのは1個まで
基本的な考え方では、上記の通りで
±0.1%ののエンペローブを超えたか?超えていないか?
が基準になります。
ただし、4本エンペローブを引いているので
- 「EMA」~「+0.1%」のゾーン → エントリーしない
- 「+0.1%」~「+0.2%」のゾーン → エントリー1回可能
- 「+0.2%」~「+0.3%」のゾーン → エントリー1回可能
- 「+0.3%」~「+0.4%」のゾーン → エントリー1回可能
- 「+0.4%」~のゾーン → エントリー1回可能
と、ゾーン一つに対して、1回までならポジションを持つことが可能です。
同じゾーンでエントリーする際は、前のポジションが決済された後に行ってください。このトレード手法は、実勢レートが自然と±0.1%ののエンペローブの内側に収まる習性を利用して、乗っかるトレードですから、内側に収まる前に複数のポジションを持ってしまうと、勝率が落ちてしまう可能性が高いのです。
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」のメリット
- エントリーチャンスが格段に多い
- エントリーのポイントは明確
- エグジットのポイントは明確
- レンジ相場で利益を伸ばしやすい
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」のデメリット
- そこまで勝率が高くならない
- スキャルピングですのでPCの前に張り付く必要がある
- トレンド相場では勝率が落ちる
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」で注意すべきこと
強いトレンド相場ではトレードをしない
今回のトレード手法は
- レンジ相場 → 勝率が高い
- トレンド相場 → 勝率が低い
性質があります。
というのも、このトレード手法は、実勢レートが自然と±0.1%ののエンペローブの内側に収まる習性を利用して、乗っかるトレードですが
トレンド相場では、エンペローブ自体が角度の強い傾きを持ってしまうので、想定通りにエンペローブの内側に戻ったとしても、それ以上にトレンドの強さが勝り、負けてしまうことが増えるのです。
強いトレンド相場のときはこのトレード手法は利用しないことをおすすめします。
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 指数平滑移動平均線(EMA):20EMAを表示(設定:種別Exponential)
- エンペローブ(Envelopes):20EMAを0.1%刻みで表示(設定:種別Exponential、偏差0.1、0.2、0.3、0.4)
- 5分足
- 米ドル/円
採用したルール
- +0.1%のエンペローブを抜けて、ヒゲが形成される → 「売り」エントリー
- -0.1%のエンペローブを抜けて、ヒゲが形成される → 「買い」エントリー
- エントリーしてから「EMA」に再タッチしたらエグジット
検証期間
2018年3月12日~2018年3月16日
3月12日~3月13日
ポジション方向「買い」
エントリー:106.624
エグジット:106.768
+14.4pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.704
エグジット:106.629
-7.5pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:106.59
エグジット:106.629
+3.9pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.421
エグジット:106.519
+9.8pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.704
エグジット:106.638
+6.6pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.322
エグジット:106.392
+7.0pips儲け
3月13日~3月14日
ポジション方向「売り」
エントリー:106.571
エグジット:106.718
-14.7pips損失
ポジション方向「売り」
エントリー:106.89
エグジット:106.902
-1.2pips損失
ポジション方向「売り」
エントリー:107.118
エグジット:107.176
-5.8pips損失
ポジション方向「売り」
エントリー:107.221
エグジット:107.176
+4.5pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:107.289
エグジット:107.151
+13.8pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.996
エグジット:106.93
-6.6pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:106.731
エグジット:106.93
+19.9pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:107.108
エグジット:106.956
+15.2pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.811
エグジット:106.629
-18.2pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:106.476
エグジット:106.629
+15.3pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.46
エグジット:106.557
+9.7pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.641
エグジット:106.628
+1.3pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.708
エグジット:106.592
+11.6pips儲け
3月14日~3月15日
ポジション方向「買い」
エントリー:106.314
エグジット:106.438
+12.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.574
エグジット:106.497
+7.7pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:106.25
エグジット:106.203
-4.7pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:106.071
エグジット:105.932
-13.9pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:105.831
エグジット:105.932
+10.1pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:105.793
エグジット:105.924
+13.1pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:105.789
エグジット:105.916
+12.7pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:105.892
エグジット:105.93
+3.8pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.095
エグジット:105.971
+12.4pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:105.863
エグジット:105.949
+8.6pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.133
エグジット:106.034
+9.9pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.229
エグジット:106.174
+5.5pips儲け
3月15日~3月16日
ポジション方向「買い」
エントリー:105.968
エグジット:106.103
+13.5pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:106.26
エグジット:106.302
-4.2pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:105.939
エグジット:105.98
+4.1pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:105.716
エグジット:105.773
+5.7pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:105.917
エグジット:106.111
-19.4pips損失
ポジション方向「売り」
エントリー:106.07
エグジット:106.111
-4.1pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:105.898
エグジット:106.008
+11.0pips儲け
結果
勝敗:27勝11敗
合計:+163.2pipsの儲け
考察
トレード機会が圧倒的に多いトレード手法
5営業日でトレード機会が38回
ですから、1日7回~8回のトレード機会が訪れることになります。
また、今回は5分足でのテストですが、このトレード手法は異常値を感知して、行うトレードですから、瞬間の為替変動に対応できるのであれば、1分足のスキャルピングトレードでも機能します。
1分足でトレードすれば、1週間で100回以上のトレード機会を得ることができます。
トレード機会が多ければ多いほど
- 一回のトレード損益が小さくても、十分な利益になる
- 勝率を上げるための条件増加ができる
というメリットがあるのです。
基本形はシンプルなトレード手法ですが
- トレンドの傾きを把握するテクニカル分析指標を入れて、〇〇以上のトレンドではトレードしない
- エグジットポイントを切り替えて、勝率を上げる
- ±0.2%、±0.3%のときは取引量を倍増させる
・・・
と様々なカスタマイズが可能になるのです。
条件を増やしても、もとのトレード回数が多いため、大きなチャンスロスにはなりません。
1回のトレード損益はかなり小さい
1回のトレード損益平均:+4.3pips
- 勝ったときの1回のトレード損益:+9.8pips
- 負けたときの1回のトレード損益:⁻9.1pips
とやはり、勝っても、負けても、少額の損益になってしまいます。その分、トレード回数を増やさないと全体の損益が大きくなりません。
しかし、このトレード手法は、PCの前に張り付く必要があるため
- 時間を決めてトレードする
- 1分足でトレードする
- 1回の取引量を増やす
などの工夫が、効率的にトレードをするために、全体の損益を引き上げるために、必要になってきます。
まとめ
「EMAとエンペローブの逆張りスキャルピングトレード」では
- トレード回数がかなり多い
- 1回のトレード損益は小さい
- スキャルピング向きのトレードテクニック
- 自己流にカスタマイズできる余地が大きい
という特徴があるため、初心者でも楽しみながら、儲けられるトレード手法となっています。