海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、少額の取引ロットでも十分に稼げるトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXのトレード手法にはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」でトレードすると結果はどうなるのか?1週間実験してみました。
「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」とは?
今回のトレード手法では「ボリンジャーバンド」を活用します。
ボリンジャーバンドとは?
相場の振れ幅(ボラティリティ)を一定期間の価格データから測定し、統計学の「標準偏差」という考え方を利用して、価格の変動範囲の幅をチャート上に表示するテクニカル指標のこと
を言います。
標準偏差では
- プラスマイナス1σに入る割合:68.26%
- プラスマイナス2σに入る割合:95.44%
- プラスマイナス3σに入る割合:99.73%
という確率になります。
プラスマイナス2σに入る割合:95.44%
ですので
- 実勢レートが「+2σ」より上にある確率は、4.56%しかないのですから、すぐにバンド内に戻る
- 実勢レートが「-2σ」より上にある確率は、4.56%しかないのですから、すぐにバンド内に戻る
と考えることができます。
- 実勢レートが「+2σ」より上にある → 下がる確率が高い → 「売り」エントリー
- 実勢レートが「-2σ」より上にある → 上がる確率が高い → 「買い」エントリー
となります。
ボリンジャーバンドの真ん中の線は「ミドルライン」「センターライン」と呼ばれますが、これは「移動平均線」のことです。
ボリンジャーバンドは
「移動平均線」+「±1σ」「±2σ」「±3σ」・・・
というラインで構成されるテクニカル分析指標なのです。
ボリンジャーバンドの形のパターン
ボリンジャーバンドにはいくつかのパターンがあります。
- スクイーズ
- エクスパンション
- バンドウォーク
が主なものです。これらを解説してきます。
「スクイーズ」とは
「スクイーズ」とは、ボリンジャーバンドのバンド幅が狭くなっている現象のことを言います。「スクイーズ」の状態は、ボラティリティが極端に小さくなっているときに発生するので、「レンジ相場」になります。
「スクイーズ」が発生すると、その後はトレンドが発生するケースが多く、「スクイーズ」の期間が長ければ長いほど、強いトレンドが発生する傾向にあります。
「エクスパンション」とは
「エクスパンション」とは、ボリンジャーバンドのバンド幅が広がる現象のことを言います。プラスのσのラインと、マイナスのσのラインが両側に開く動きが「エクスパンション」です。
バンド幅が広がることが意味するのは、トレンドの発生です。バンド幅が広がれば広がるほど、強いトレンドの発生を意味します。
「バンドウォーク」とは
「バンドウォーク」とは、実勢レートがバンドに沿って、トレンドが形成されていく現象のことを言います。
バンドウォークが発生するときというのは、強いトレンドが発生しているときです。
今回のトレード手法で利用するテクニカル分析指標は「ボリンジャーバンド」のみです。
MT4/MT5の設定
インジケーターの「Bollinger Bands」を選択
- 期間「21」
- 標準偏差「2」
- スタイル:緑
ボリンジャーバンドは、プラスマイナス2σのみを表示させています。
「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」手法の考え方
今回の「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」手法では
- ボリンジャーバンドの「エクスパンション」を確認する(≒トレンドの発生)
- 実勢レートがバンド幅よりはみ出したときに順張り方向にポジションを持つ
- バンドが閉じる動きをしたときに「エグジット」
という「考え方」のトレードになります。
ボリンジャーバンドの「+2σ」「-2σ」の動きを見て
- 開いたら → トレンド発生 → 順張り方向にエントリー
- 閉じたら → トレンド終了 → エグジット
という形でトレードをします。
ボリンジャーバンドの「エクスパンション」を確認する
「エクスパンション」 ≒ トレンドの発生
を意味します。
「エクスパンション」は、「+2σ」「-2σ」の両方が離れる方向に動くこと
です。
どちらかだけでは「エクスパンション」とや呼ばないことに注意が必要です。両方が離れる方向に動くのが「エクスパンション」です。
実勢レートがバンド幅よりはみ出したときに順張り方向にポジションを持つ
今回のトレード手法では「エクスパンション」ですぐにポジションを持つわけではありません。
「エクスパンション」の後に実勢レートが「+2σ」「-2σ」を超える ≒ 強いトレンドの発生
と考えて、エントリーします。
バンドが閉じる動きをしたときに「エグジット」
「+2σ」「-2σ」が閉じる方向に動いたら ≒ トレンドの終了
と判断して、「エグジット」します。
つまり、
「エクスパンション」が発生を確認
実勢レートが「+2σ」を超える → 「買い」エントリー
実勢レートが「-2σ」を超える → 「売り」エントリー
「エクスパンション」の終了(「±2σ」両方のバンドが閉じる方向に動く)でエグジット
というのが今回のトレード手法です。
「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」手法とは?
ルールその1.「エクスパンション」の発生を判断する
「エクスパンション」の発生とは
- 「+2σ」と「センターライン」との幅が広がる
- 「-2σ」と「センターライン」との幅が広がる
ときを言います。
「エクスパンション」が発生したことを確認し、トレードの準備に入ります。この段階ではトレードをしません。
また、片方の
- 「+2σ」と「センターライン」との幅が広がる
or
- 「-2σ」と「センターライン」との幅が広がる
では、「エクスパンション」の状態にはならないので注意が必要です。
ルールその2.実勢レートが「±2σ」を超えることを確認してエントリー
前述した通りで、実勢レートが「±2σ」のバンドに沿って動くことを「バンドウォーク」と呼びます。
「エキスパンション」の後に実勢レートが「±2σ」のバンドを超える ≒ 強いトレンドの発生
と考えるため、エントリーします。
「エクスパンション」が発生を確認
実勢レートが「+2σ」を超える → 「買い」エントリー
実勢レートが「-2σ」を超える → 「売り」エントリー
ルールその3.両方のバンドが閉じたら「利確」エグジット
バンドが閉じる ≒ トレンドの終了
を意味します。
今回は
- 「+2σ」が閉じる
- 「-2σ」が閉じる
の両方を確認した段階で、トレンド終了と判断し、「利確」エグジットします。
ルールその4.センターラインを逆方向に割ったら「損切」エグジット
予想に反して、実勢レートがセンターラインを割ってしまったら
予想が外れて、トレンドが発生しなかった。
ことを意味します。
「買いエントリー」 → 実勢レートがセンターラインを上から下に抜ける → 「損切」エグジット
「売りエントリー」 → 実勢レートがセンターラインを下から上に抜ける → 「損切」エグジット
「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- ボリンジャーバンド:21MA、プラスマイナス2σ表示
- 5分足
- 米ドル/円
採用したルール
- ボリンジャーバンドの「エクスパンション」を確認する
- 「エクスパンション」後、実勢レートが「+2σ」を抜けたら、「買い」エントリー
- 「エクスパンション」後、実勢レートが「-2σ」を抜けたら、「売り」エントリー
- 「±2σ」の両方のバンドが閉じたら、「利確」エグジット
- 「買いエントリー」後、実勢レートがセンターラインを上から下に抜けたら「損切」エグジット
- 「売りエントリー」後、実勢レートがセンターラインを下から上に抜けたら「損切」エグジット
検証期間
2018年7月9日~2018年7月13日
2018年7月9日~2018年7月10日
ポジション方向「買い」
エントリー:110.551
エグジット:110.772
+22.1pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:110.913
エグジット:110.995
+8.2pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:111.068
エグジット:111.168
+10.0pips儲け
2018年7月10日~2018年7月11日
ポジション方向「買い」
エントリー:111.129
エグジット:111.273
+14.4pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:111.272
エグジット:111.244
-2.8pips損失
ポジション方向「売り」
エントリー:111.185
エグジット:110.841
+34.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:110.797
エグジット:110.869
-7.2pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:111.101
エグジット:111.204
+10.3pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:111.121
エグジット:111.194
-7.3pips損失
2018年7月11日~2018年7月12日
ポジション方向「買い」
エントリー:111.475
エグジット:111.999
+52.4pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:112.003
エグジット:112.096
+9.3pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:112.273
エグジット:112.348
+7.5pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:112.346
エグジット:112.312
-3.4pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:112.441
エグジット:112.437
-0.4pips損失
ポジション方向「買い」
エントリー:112.53
エグジット:112.522
-0.8pips損失
2018年7月13日
ポジション方向「買い」
エントリー:112.621
エグジット:112.66
+3.9pips儲け
ポジション方向「買い」
エントリー:112.682
エグジット:112.736
+5.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:112.619
エグジット:112.595
+2.4pips儲け
ポジション方向「売り」
エントリー:112.365
エグジット:112.288
+7.7pips儲け
結果
勝敗:13勝6敗
合計:+166.1pips
考察
一回のトレード損益が大きいトレード手法
1回のトレード利益:平均+14.5pips
です。デイトレードで、平均+14.5pips勝てるのであれば、十分に利益が出やすいトレード手法と言えます。
トレンドの発生の早い段階でエントリーするため、ある程度のpipsが稼げるのです。
勝率は低いトレード手法
勝率:68.4%
ですから、FXのトレード手法の中では、それほど高い勝率とは言えません。
明確なエントリーポイント、エグジットポイント
ボリンジャーバンドの「±2σ」のラインと実勢レートの動きで「利確」「損切」をするので、初心者がやっても、上級者がやっても、エントリーやエグジットのポイントは変わりません。
わかりやすい分、初心者にもおすすめできるトレード手法となっています。
勝率を高める改善が必要
FXのトレード手法では
- 勝率は高いけれども、1回の勝ち幅が小さいトレード手法
- 勝率は低いけれども、1回の勝ち幅が大きいトレード手法
の大きく分けて、2パターンがあります。
今回の「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」は後者です。
ということは、改善すべきは「勝率」ということになります。
勝率を上げるためには「だまし」を減らさなければなりません。
ボリンジャーバンド以外のテクニカル分析指標を利用して、今回のトレードのサインが出ていても、トレンド発生の確率が低い別の傾向がある場合は「エントリーしない」という工夫が必要になります。
まとめ
「ボリンジャーバンドのエクスパンションを狙う順張りトレード」では
- 1回の勝ち幅が大きい
- 勝率が低い
というメリットデメリットが明確なトレード手法です。
シンプルなトレード手法ですので、初心者にもおすすめできますが、改善の余地は大いにあるので、他のテクニカル分析指標と組み合わせながら、「より勝率を高める」方法を開発しましょう。