海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが、「4本の移動平均線のみの順張りトレード」だけでトレードするとどうなるのか?1週間実験してみました。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」とは?
移動平均線とは?
一定期間の終値平均値を結んだラインのこと
を言います。
テクニカル分析のもっとも基本的なテクニカル指標であるとともに、多くの投資家が自分のトレード手法に組み込んでいる精度の高いテクニカル指標でもあるのです。
今回は、この移動平均線のみで構成された精度の高いトレード手法「4本の移動平均線のみの順張りトレード」を紹介します。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」とは?
このトレード手法は
「レンジ相場」から「トレンド相場」に切り替わるタイミングを狙ったトレード
です。
トレンド相場が形成される最初の部分でエントリーできれば、大きなpipsを稼げるという意図があります。
一方で
「レンジ相場」から「トレンド相場」に切り替わるタイミングには「だまし」も多く発生します。
「トレンドが発生したと思ったら、まだレンジの最中だった。」
ということが頻繁に起こりうるのです。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」は
- トレンド相場が形成される最初の部分でエントリーして大きなpipsを稼ぐこと
- レンジ相場をブレイクするときの「だまし」をできるだけ回避すること
を実現しています。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」手法のイメージ
第1段階.レンジ相場を見極める
このトレード手法で、まず最初にしなければならないのは「レンジ相場の見極め」です。
「レンジ相場」から「トレンド相場」に切り替わるタイミングを狙ったトレードですから、「レンジ相場」にならないとトレードチャンスはないのです。
レンジ相場を見極める条件
条件1:200MAがほぼ平であること
200MAは、200個のローソク足の終値の平均値をつないだ線のことですので、「大きなトレンド」」を示してくれます。
- 200MAが上向きに傾く → 上昇トレンド
- 200MAが下向きに傾く → 下降トレンド
- 200MAが平ら → レンジ相場
と言えるのです。
条件2:50MAと5MAもしくは14MAが交差している
5MAと14MAのように期間の差が小さい移動平均線の組み合わせでは、トレンド相場でも絡み合う可能性があるのですが
- 50MAと5MA
- 50MAと14MA
- 200MAと50MA
といように期間の差が大きい移動平均線の組み合わせでは、トレンド相場になると位置関係が決まってくるため、間隔が空き、平行に位置するのです。
逆に言うと、期間の差が大きい移動平均線が絡み合っているときというのは「レンジ相場」なのです。
第2段階.「レジスタンスライン」「サポートライン」を引く
「レンジ相場から、トレンド相場への転換」を見極めるために重宝されるものが「レジスタンスライン」「サポートライン」です。
- 「レジスタンスライン」:レンジ相場での高値を結んだもの
- 「サポートライン」:レンジ相場での下値を結んだもの
です。
多少のずれは許容しながらも、だいたいで構わないので「レジスタンスライン」「サポートライン」を引きましょう。
第3段階.レンジブレイクを確認する
「レジスタンスライン」「サポートライン」を実勢レートが抜ければ「レンジブレイク」です。
しかし、前述した通りで、今回の「4本の移動平均線のみの順張りトレード」では、このタイミングでのエントリーはしません。
「だまし」が多いからです。まだ、様子見です。
第4段階.「押し目」「戻り」を確認してからエントリー
レンジブレイク後の「だまし」を回避するために「押し目」「戻り」ができることを確認してからエントリーします。
- 「押し目」:上昇トレンド形成時に一時的にレートが下降すること
- 「戻り」:下降トレンド形成時に一時的にレートが上昇すること
- 「レジスタンスライン」がブレイクされて
- 上昇トレンドができて
- 「押し目」ができて
- さらに「5MA」よりも実勢レートが上に抜けたときに
→ 「買い」エントリー
- 「サポートライン」がブレイクされて
- 下降トレンドができて
- 「戻り」ができて
- さらに「5MA」よりも実勢レートが下に抜けたときに
→ 「売り」エントリー
です。
「押し目」「戻り」ができて、さらにトレンド方向に戻るということは「強いトレンドが発生した。」ということを意味します。
さらに「5MAを実勢レートが抜ける」という条件をつけているので、「より確実に強いトレンドが発生した。」ということを意味します。
5MAは、ローソク足5本分の終値の平均値ですから、これよりも実勢レートが上にあれば、過去の平均よりも今の方が上にあるということですから、強い上昇トレンドが起きているということを意味します。
第5段階.トレンドが終了したらエグジット
- 50MAと14MA
- 50MAと5MA
- 50MAと実勢レート
が交差するということは
「トレンド相場からレンジ相場に戻った。」
ということを意味します。
エントリー時とは逆にこのサインが出たら、エグジットします。
これが「4本の移動平均線のみの順張りトレード」手法になります。
もう一度イメージをおさらいしてみましょう。
こちらが実際のチャートにおける4本の移動平均線のみの順張りトレード」手法です。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」のメリット
- 「だまし」を高い確率で回避できる
- 高い勝率が期待できる
- トレンドが伸びるときは、稼げるpips数も増える
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」のデメリット
- 「だまし」を回避するために条件を増やしているため、取引機会が少なくなる
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」で注意すべきこと
移動平均線の位置に注意
移動平均線というのは
レンジ相場
- 5MA
- 14MA
- 50MA
- 200MA
- 実際レート
が絡み合います。
トレンド相場
上昇トレンド
- 実勢レート
- 5MA
- 14MA
- 50MA
- 200MA
下降トレンド
- 200MA
- 50MA
- 14MA
- 5MA
- 実勢レート
という位置関係になります。
トレンド相場であっても、期間の差が小さい「14MA」「5MA」「実勢レート」は絡み合うケースがほとんどなのですが
- 200MAと50MA
- 50MAと14MA
- 50MAと5MA
- 50MAと実勢レート
が絡み合うことはほとんどないのです。
トレンド相場だと思っていても、上記のような状況である場合は、大きなレンジ相場の中にいる可能性が高いので、エントリーは見送りましょう。
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」/実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 移動平均線:5MA、14MA、50MA、200MA(Simple)
- 5分足
- USD/JPY
採用したルール
- レジスタンスラインブレイク、「押し目」発生、5MAを実勢レートが上に抜ける → 「買い」エントリー
- サポートラインブレイク、「戻り」発生、5MAを実勢レートが下に抜ける → 「売り」エントリー
- 14MA、5MAと50MAが交差する → エグジット
検証期間
2017年7月31日~2017年8月4日
7月31日
ポジション方向:売り
エントリー:110.441
エグジット:110.276
+16.5pipsの利益
8月1日
ポジション方向:買い
エントリー:110.409
エグジット:110.389
-2.0pipsの損失
8月2日
ポジション方向:買い
エントリー:110.445
エグジット:110.697
+25.2pipsの利益
8月3日
ポジション方向:売り
エントリー:110.396
エグジット:110.185
+21.1pipsの利益
8月4日
ポジション方向:買い
エントリー:110.702
エグジット:110.771
+6.9pipsの利益
結果
勝敗:4勝1敗
合計:+67.7pipsの儲け
考察
取引機会は少ないが、勝率はかなり高い
複数のエントリー条件を設定しているため、勝率80%という高い勝率になりました。その中の1敗も、トレンド自体は予想通りに形成されていて、エントリータイミングがずれてしまっただけですので、ほぼほぼ想定通りにトレンドが想定された結果となっています。
一方で、確実性を高めたトレード手法なので、その分トレード機会がかなり少ないデメリットがあります。
5日間の検証でトレードで来た回数は5回ですから、1日1回のトレード機会しかないのです。
一つの通貨ペアで、一つの時間足のチャートで、トレードをしていても、なかなか稼げるpips数は増えないのです。
取引機会を増やすためには
- 同時に取引をする通貨ペアを増やす
- ボラティリティが大きい通貨ペアや時間足(1分足)に変更する
という方法が考えられます。
また、取引機会はそのままでも
- 取引枚数を通常の2倍~3倍にする
という方法を取れば、稼げる金額は増えるでしょう。
「勝率の高さ」を活用することで、取引回数は少なくても、大きく儲けられるトレードスタイルが構築できるはずです。
エグジットタイミングは検討の余地があり
検証結果を見ていただければわかるかと思いますが
- 14MA、5MAと50MAが交差する → トレンド相場からレンジ相場に → エグジット
という形になるので
トレンドの頂点では、エグジットできない
とも言えるのです。
トレンド相場からレンジ相場に変わるタイミングというのは、すでにトレンドの頂点から、価格が下がってきた状態だからです。
トレンドの頂点を探るための別のテクニカル分析指標や方法が開発できれば、さらに稼げるpips数は伸びるはずです。
まとめ
「4本の移動平均線のみの順張りトレード」は今回の検証期間では十分な利益を出したトレード手法とは言い難いのですが、十分な勝率を上げたトレード手法ということはできます。
確実性を高めることの犠牲として、取引機会が減っているのですから、確実性はそのままに取引機会を増やすことができれば、メインのトレード手法として採用できるレベルになるということです。
利用しているのも、「移動平均線」「レジスタンスライン」「サポートライン」「レンジ相場の見極め」「押し目・戻り」というFXではかなり基本的な考え方や指標ですので、FXトレードを学びたい初心者の方にうってつけのトレード手法となっています。