海外FXはハイレバレッジでトレードができるため、資金力が少なくても、ある程度の通貨量でトレードが可能になります。だとすれば、勝率の高いテクニカルトレードの方が海外FXにはマッチするはずです。今回は初心者向けのテクニカルトレード方法ですが「寄せ線(十字線)の逆張りトレード」でトレードすると結果はどうなるのか?1週間実験してみました。
「NYボックストレード」とは?
今回の「NYボックストレード」では、「ニューヨーク市場のボックス」「ピボットポイント(PP)」を利用します。
「ニューヨーク市場のボックス」とは?
FXトレードは、24時間トレードできますが、一つの市場がコンビニのように24時間営業しているわけではありません。
FXトレードが24時間トレードできる理由は
- 世界中の「外国為替取引市場」の営業時間に時差があること
- 通貨の売買は、どの国でやっても同じ取引であること
が理由です。
そのため、24時間トレードし続けたとしても、MT4上では違いはわかりませんが、実際には世界の「外国為替取引市場」が移り変わっているのです。
「外国為替取引市場」の24時間の移り変わり
ニュージーランド/ウェリントン市場
↓
豪州/シドニー市場
↓
日本/東京市場
↓
中国/香港市場
↓
シンガポール市場
↓
中東/バーレーン市場
↓
ロシア市場
↓
ドイツ/フランクフルト市場
↓
スイス/チューリッヒ市場
↓
フランス/パリ市場
↓
英国/ロンドン市場
↓
米国/ニューヨーク市場
↓
(次の日)
↓
ニュージーランド/ウェリントン市場
夏時間
冬時間
「取引市場が変わると何か影響があるの?」
市場参加者(投資家)が変わります。
パソコンに張り付いて、トレードする個人投資家は、24時間トレードできるので、それほど影響はないのですが・・・
- 貿易などでトレードをする実需筋
- 巨額のトレードをする機関投資家(ファンド、銀行)
は、その国の「外国為替取引市場」が開いている時間にトレードするため、「外国為替取引市場」によって、相場の特徴が出てくるのです。
今回、注目するのは「ニューヨーク市場」です。
「ニューヨーク市場」の傾向は
- 米ドルが世界の基軸通貨である
- ロンドン市場の後にニューヨーク市場が開く
- 機関投資家も基軸通貨の米ドルに合わせてトレードをはじめる
- 実需筋も基軸通貨の米ドルに合わせてトレードをはじめる
- 様々な国の市場が開いている時間
ため、
大きなトレンドが発生する時間帯
なのです。
日本時間で言えば
冬時間 22:00~翌7:00
夏時間 21:00~翌6:00
です。
とくにトレンドの動きが激しいのは「前場」と呼ばれる
冬時間 22:00~翌1:00
夏時間 21:00~24:00
です。
今回のトレード手法では
ニューヨーク市場の時間は、トレンドの動きが激しくなる
という特徴を利用したトレードになります。
「ピボットポイント(PP)」とは?
「ピボットポイント(PP)」とは、前日の終値、前日の安値、前日の高値の平均値のこと
を言います。
計算式で表すと
ピボットポイント(PP) = ( 前日の高値+安値+終値 ) / 3
になります。
「ピボットポイント(PP)」をチャート上に表示すると下記のようになります。水色の線が「ピボットポイント(PP)」になります。
今回のトレード手法では、「ピボットポイント(PP)」は、損切や利確の目安として利用します。
「ピボットポイント(PP)」とは、前日の終値、前日の安値、前日の高値の平均値ですから、多くの投資家がこの「前日の終値」「前日の安値」「前日の高値」を意識してトレードします。
- ある投資家は、「前日の安値」でストップロス注文
- ある投資家は、「前日の高値」で利確の指値注文
- ある投資家は、「前日の終値」で相場の動向を見る
多くのテクニカル分析指標が「前日の終値」「前日の安値」「前日の高値」を計算に組み込んでいるので、「前日の安値、前日の高値」の前後で売買が行われるため、「ピボットポイント(PP)」でトレンドが終わることが多く、損切や利確のエグジットタイミングとして、向いているのです。
また、「ピボットポイント(PP)」は、日が変わるたびに更新されるため、強いトレンドが発生しても、「ピボットポイント(PP)」と実勢レートが大きく離れることはないのです。
MT4の設定
「allpivots_v2」という「ピボットポイント(PP)」を表示するインジケーターを使用します。
設定は初期設定のままで大丈夫です。
- R3=R1 + ( 前日の高値 - 前日の安値 )
- R2=PP + ( 前日の高値 - 前日の安値 )
- R1=PP + ( PP - 前日の安値 )
- ピボットポイント(PP) = ( 前日の高値+安値+終値 ) / 3
- S1=PP - ( 前日の高値 - PP)
- S2=PP - ( 前日の高値 - 前日の安値 )
- S3=S1 - ( 前日の高値 - 前日の安値 )
を表しています。
「NYボックストレード」手法の考え方
今回の「NYボックストレード」手法では
- ニューヨーク市場の時間帯にトレンドが大きく動く
- 「ピボットポイント(PP)」でトレンドが終わる
という性質を利用したトレードです。
- ニューヨーク市場が閉じている間の「高値」「安値」で、「ボックス」を描きます。
- ニューヨーク市場が開いて手から、「ボックス」の「高値」「安値」を更新するようだと強いトレンドができたと判断できます。
- その後、「ピボットポイント(PP)」でエグジットします。
これが、今回のトレード手法です。
具体的な手法としては
- ニューヨーク市場の閉じている間の「高値」「安値」で「ボックス」を描く
- ニューヨーク市場が開いて
- クローズしている間の「高値」よりも上でローソク足が形成され始める「買い」エントリー
- クローズしている間の「安値」よりも下でローソク足が形成され始める「売り」エントリー
という形でエントリーします。
エグジットとしては
- 次に引かれた「ピボットポイント」にタッチしたら「利確」
- 元のボックスの「高値(安値)」まで戻ってしまったら「損切」
というシンプルな考え方になります。
「NYボックストレード」とは?
ルールその1.ニューヨーク市場の閉じている間でボックスを描く
ニューヨーク市場の閉じている間
日本時間で言えば
冬時間 翌7:00~22:00
夏時間 翌6:00~22:00
の「高値」「安値」で「ボックス」を描きます。
※ヒゲではなく、ローソク足の実体で「ボックス」を描きます。
ルールその2.エントリー
- ニューヨーク市場がクローズしている間の「高値」よりも上でローソク足が形成され始める
→ 「買い」エントリー
- ニューヨーク市場がクローズしている間の「安値」よりも下でローソク足が形成され始める
→ 「売り」エントリー
ルールその3.次のピボットポイントにぶつかったら「利確」
エントリーしたタイミングの次のピボットポイントにぶつかったら「利確」します。
※エントリーした価格と次のピボットポイントの距離が10pipsに満たない場合は、その次のピボットポイントを利確ポイントとします。
ルールその4.元の「ボックス」の「高値」「安値」に戻ったら「損切」
トレンドの伸びずに、元の「ボックス」の「高値」「安値」に戻ってしまったら「損切」します。
「NYボックストレード」のメリット
- 1回の勝ち幅が大きい
- エグジットポイントが明確
「NYボックストレード」のデメリット
- エントリー機会が少ない
- エントリータイミングが不明確
「NYボックストレード」で注意すべきこと
1日1回しかトレード機会がないトレード手法ですので、トレンドが伸びそうだと思った時は、ピボットポイントにタッチしても、すべてのポジションを利確せずに、半分を残すなどして、利幅を広げるような使い方が有効です。
1日1回のトレードでは、なかなか利益は伸びにくいのです。
「NYボックストレード」実験レポート
検証条件
採用したチャート
- 15分足
- ユーロ/米ドル
- ピボットポイント:初期設定
採用したルール
- ニューヨーク市場がクローズしている間の「高値」「安値」でボックスを描く
- クローズしている間の「高値」よりも上でローソク足が形成され始めたら「買い」エントリー
- クローズしている間の「安値」よりも下でローソク足が形成され始めたら「売り」エントリー
- エントリーポイントの次のピボットポイントにタッチしたら「利確」
- 反転して、再び、ボックスの「高値」「安値」にタッチしたら「損切」
検証期間
2019年6月13日~2019年6月17日
2019年6月13日
ポジション方向「買い」
エントリー:1.12431
エグジット:1.1253
+9.9pips儲け
2019年6月14日
ポジション方向「売り」
エントリー:1.12252
エグジット:1.12063
+18.9pips儲け
2019年6月15日
ポジション方向「売り」
エントリー:1.11824
エグジット:1.11884
-6.0pips損失
2019年6月16日
ポジション方向「売り」
エントリー:1.11917
エグジット:1.11766
+15.1pips儲け
2019年6月17日
ポジション方向「売り」
エントリー:1.11598
エグジット:1.11616
-1.8pips損失
結果
勝敗:3勝2敗
損益:+36.1pips
考察
トレード機会が少ない
ニューヨーク市場が開いたときのトレンドの形成時にエントリーするため、1日1回のトレード機会しかありません。トレード機会が少ないため、メインのトレード手法としては利用しにくいデメリットがあります。
エントリータイミングが不明確
エントリーのタイミングが
- ローソク足が形成され始めたらエントリー
ですから、人によって判断が変わってしまうのです。
- ピボットポイントでエグジットする
というエグジットタイミングは明確なのですが、エントリータイミングが不明確なため、人によって収益に差が出てしまうトレード手法です。
一回の勝ち幅も小さい
平均+7.2pipsですので、1回のトレードの勝ち幅も小さいトレード手法となっています。
これは、ピボットポイントでエグジットするため、ピボットポイントの距離が小さいと、せっかく大きなトレンドを当てても、利幅が確保できないのです。
前述した通りで、トレンドがもっと伸びそうな場合は、エグジットせずに利確する目標のピボットポイントをずらす必要があります。
まとめ
「NYボックストレード」では
- トレード機会が少ない
- エントリータイミングが不明確
- 一回の勝ち幅も小さい
と、あまり良くないデメリットが目立ったトレード手法となっています。
ただし、ニューヨーク市場の値動きを体感するという意味では、うってつけのトレード手法です。ニューヨーク市場の値動きの傾向をつかむ練習として、試してみてはいかがでしょうか。ニューヨーク市場の値動きの傾向がつかみ取れれば、ほかのトレード手法との併用で、より勝率を高めることもできます。