海外FXを使う時に注意しなければならないのは「信託保全」「分別保管(分別管理)」です。とくに高額な資金を運用する大口投資家にとっては、顧客資産が保全されるか?どうか?というのは重要な判断基準になるのです。
国内のFX業者の場合、2010年から「全額信託保全」が義務化されたため、国内のFX業者は分別保管(分別管理)になったのです。「全額信託保全」というのは、信託銀行への金銭預託を意味するため、ほぼ確実に顧客資産は守られるのです。
しかし、これは金融庁に登録する国内FX業者の話であり、海外FX業者が顧客資産をどう保全するかはその業者の方針次第なのです。
ただの分別保管(分別管理)に意味はない!
分別保管(分別管理)というのは
- 顧客資産
- FX業者の経営資産
を別の銀行口座で管理することを意味します。
- 顧客資産 → A口座
- FX業者の経営資産 → B口座
というだけで分別保管(分別管理)になるのです。
しかし、これで「資金は流用できません。」と言われたところで、誰がそれを信じるのでしょうか?
どのような分別管理なのか?が重要なのです。
信託銀行(信託法人)を使った分別保管(分別管理)=信託保全なら倒産リスクはない!
信託銀行へ顧客資産を預ける形の分別保管(分別管理)を行うことが信託保全になります。
- 顧客資産 → 信託銀行のA口座
- FX業者の経営資産 → B口座
という形になれば、万が一、FX業者が倒産した場合にも、信託銀行に信託されている投資家の資産の全額が清算人(弁護士等)によって返却されるのです。
ただし、顧客資産はまずFX業者へ入金されるため、そこから信託銀行に確実に顧客資産がわたっているということまでは把握できないのです。資金の流用リスクと言うのは、実は信託保全でも担保されないのです。
ジョイントアカウントによる分別保管(分別管理)というものもある
ジョイントアカウントというのは共同口座という意味を持ちます。
FX業者と資金管理者(アドミニストレーター)が共同で口座を開設して、顧客資産を管理するのがジョイントアカウントによる分別保管(分別管理)です。
弁護士や会計士が資金管理者(アドミニストレーター)になり、口座からの入出金の権限を持つ形になります。
一番安全なのは信託管理会社が信託銀行(信託法人)へ顧客資産を預ける形
信託銀行への信託保全であっても、顧客が直接FX業者に入金していると、確実に顧客資産が信託銀行に渡っているのか?が確認できないため、倒産リスクは回避できても、流用リスクというのは避けられないというお話をしました。
しかし、顧客資産をはじめからFX業者ではなく、FX業者と契約する信託管理会社に入金していれば、流用リスクも回避できるのです。信託管理会社は責任をもって顧客資産を信託銀行に預け入れる形を取るのです。
海外FX業者に多い投資家補償基金
海外FX業者は、独自で信託スキームを持つとコストが非常に高くなってしまうため、ICF (投資家補償基金)というものを利用していることが多いのです。
CySec(キプロス証券委員会)に登録している海外FX業者は加盟を義務付けられているものです。
ICF (投資家補償基金)に加盟していれば、FX業者が倒産したとしても、FX業者が顧客資金を持ち逃げしたとしても、最低2万ユーロまでは補償される仕組みになっています。
全額ではないところに不満を感じる方もいるかもしれませんが、2万ユーロ(約250万円)であれば、十分に対応できる金額の方がほとんどではないでしょうか。
当然、ICF (投資家補償基金)を使うのは最悪の場合であって、信託保全や分別管理がきちんと運用されていれば、問題ないのです。
※2016年1月時点ではXMTrading(エックスエムトレーディング)は日本人顧客の新規口座開設をセーシェル口座にしています。セーシェル口座の場合、ICF (投資家補償基金)は関係なく、独自で上限あり一部信託保全対応をしています。
結局、海外FX業者を選ぶときにはどの方法を選べば良いのか?
倒産リスクの回避の方は、流用リスクよりも重要度は高いのです。
流用リスクの場合は、日本国内のFX業者であっても、起こりうるものだからです。
海外FX業者を資産管理の重要性で選ぶのであれば
- 信託保全(完全分別管理)を行っている海外FX業者
- ICF (投資家補償基金)に加盟している海外FX業者
- ジョイントアカウントでの分別管理をしている海外FX業者
- 分別管理をしている海外FX業者
という順番になるかと思います。